“三人娘ホストCLUBに行く!?”  ポー編

 

 

 

 

ポ―「ああ……うああああ……わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――――!!!!」

 

 

 

 

ノブナガ「……」

 

 

 

ポー「サラッサラです!! ノブナガさんの髪の毛……ジャ●プ本誌で初めて下ろしておられるところを拝見したときからサラッサラなんだろうなと思ってましたけど、その予想をはるかに上回るサラッッッサラ具合です!!! もう、最高です!!生きててよかったです!!!」

 

 

 

フェイタン「その台詞、これでもう35回目ね……」

 

 

 

ノブナガ「このバカ女。いい加減、人の髪の毛に頬ずりすんのやめろっつーの……!」

 

 

 

ポー「あっ!す、すみません。こんなことしたら、毛先が傷んじゃいますよね」

 

 

 

ノブナガ「そこは気にしてねーんだよ!!」

 

 

 

フェイタン「ククッ、嘘ね。ノブナガはああ見えて髪に気使てるね。この前も、アジトのシャワー室にヴィダル●スン置いてあたの見たよ。直前に入てたのノブナガね」

 

 

 

ノブナガ「ああ!?そそそそんなもん、しし知らねーぞ俺アよ!!」

 

 

 

ウヴォー「オレもアジトで枝毛切ってるノブナガ見たぞー!!」

 

 

 

ノブナガ「ウヴォー!!テメェは隣のテーブルだろうが!!話に入ってくんじゃねーっっ!!」

 

 

 

ポー「へえ!やっぱり。手入れが行き届いてると思いました! イルミも同じ黒髪直毛ですけど、毛の太さがしっかりしてて、水分量が多くて、全体的に重みとまとまりのある毛質なんですよね。自然に束になるっていうか、ウルツヤストレートっていうか……一方、対するノブナガさんの黒髪は、髪が細めで水分量がほどほどだから、サラサラとして指通りのいいサラサラ……サラツヤストレーーーーート――――ッッ!!!!!!」

 

 

 

フェイタン「毛フェチね」

 

 

 

ノブナガ「変態だな」

 

 

 

ポー「違いますう!はあー、でもいいです。美味しいお酒を飲みながら、この黒髪を愛でていていいのなら、もう変態でもなんでも構いません……!!ノブナガさん、チョンマゲなんてやめて常にコレでいて下さいよぅ。映画の時みたいに、ラフな格好にコレで日本刀なんて振るった日にはもう、百回くらい首はねられても平気です私!!」

 

 

 

ノブナガ「平気でたまるかっ!!……ったく。マゲは侍の魂だ。誰に何と言われようが止める気は――」

 

 

 

ポー「えっ!フェイタンさんも髪の毛伸ばしてた時期があったんですか?」

 

 

 

ノブナガ「聞けよ!!」

 

 

 

フェイタン「20才くらいのときかね……肩より少し長かたが、邪魔になたからすぐに切てしまたよ」

 

 

 

 

ポー「えーっ! もったいない! 見たかったです。フェイタンさんの髪の毛もまっすぐで綺麗だから、のばせばきっと素敵な黒髪ロングに……ああ、そんなフェイタンさんだったら、私専属の拷問師として雇うのに!!」

 

 

 

 

フェイタン「……お前、さてはSM好きね」

 

 

 

 

ノブナガ「そっちの趣味もあんのかよ」

 

 

 

ポー「あっ、ありませんよ! そうじゃなくて、毎朝行う拷問の訓練のときにフェイタンさんがいてくれたらなあって」

 

 

 

フェイタン「拷問の……」

 

 

 

ノブナガ「訓練んんん~!?」

 

 

 

ポー「そんな顔しなくったって。仕方無いじゃないですか、私、こう見えてもゾルディックの人間ですし、あの家では日課なんです。拷問の訓練って!」

 

 

 

フェイタン「ゾルディク……ならお前、殺し屋か」

 

 

 

ポー「いえ、生物学者です」

 

 

 

ノブナガ「正反対じゃねーか!! ったく、ますます訳のわからねー女だな……」

 

 

 

フェイタン「ふむ……ちょと手を出すね」

 

 

 

ポー「手ですか?」

 

 

 

フェイタン「ああ。軽く爪はぐよ」

 

 

 

ポー「っうあああああああああああっ!!? びびびっくりしたー! ちょっと、いきなりなにするんですかっ!? “驚愕の泡”で弾けたからよかったものの、そうじゃなかったら爪が丸坊主になるところだったじゃないですか!」

 

 

 

フェイタン「くっくっくっ。油断大敵ね。それにしても驚いたね……剥がす前に、爪が指の先ごと変形したよ。ぬるついたゴムのようね」

 

 

 

ノブナガ「おい、拷問の訓練ってのぁ普通は痛みに慣れるってもんじゃねーのか」

 

 

 

ポー「痛いのなんてイヤですぅ。痛くないように回避できたらそれにこしたことはありません!」

 

 

 

フェイタン「ま、それもそうね……む。ちょとお前、ワタシの髪に何してるか」

 

 

 

ポー「ちょっとテンタくんで細工を。びっくりさせたお詫びに、髪の長いフェイタンさんを見せて下さいよ。毛根に操作系のオーラを注入して――」

 

 

 

フェイタン「止めるねこのバカ!」

 

 

 

ノブナガ「だっはっはっは!! やってもらえよ、フェイタン!」

 

 

 

フェイタン「ノブナガあとで覚えとくね……!?」

 

 

 

ポー「はい、完了ー!! うひゃあああああああああああああっ!! やっぱり綺麗な黒髪です、フェイタンさん!! ハリあり、ツヤあり、コシあり、太さのしっかりした直毛ストレートっ!! こうして伸ばしてみるとまるで――」

 

 

 

フェイタン「……」

 

 

 

ポー「まるで……」

 

 

 

フェイタン「……」

 

 

 

ポー「……コルトピさん?」

 

 

 

ノブナガ「ダーッハッハッハッハッハッハッ!!!」

 

 

 

フェイタン「……コロス」

 

 

 

ポー「キャーッ! キャーッ!! ままま待って下さいフェイタンさんっ!! 悪気はなかったんです! ただちょとこう、可愛いなあってイタタタタ!!」

 

 

 

ノブナガ「あー、腹痛ぇ……それにしても、フェイの殺人剣をそれだけ食らって、ただのイタタタタですむなんてなぁ、オメェ、意外とやるじゃねぇか」

 

 

 

クロロ「お前もそう思うか」

 

 

 

ノブナガ「どおわっ!? だ、誰かと思ったら団長!? テーブルの下からいきなり出てくんのやめろっつーの!! ――で、なんの用だ」

 

 

 

クロロ「このCLUBのナンバーワンホストとして、お前たちがちゃんと客をもてなしているか心配になって見に来た。断っておくが、決して指名が入らなくて暇だったわけじゃない」

 

 

 

ノブナガ「へいへい」

 

 

 

クロロ「本当に、暇だったわけじゃないぞ。フェイタンとお前が同時に指名されたと聞いて、気になってきてみたんだ。そうしたら案の定だ。なぜこうも殺伐としている」

 

 

 

ノブナガ「いや、あの客の嬢ちゃんが、妙な能力でフェイの髪を――」

 

 

 

クロロ「やめろ、コルトピ。お前の指名された席はあっちだろう」

 

 

 

ノブナガ「!?」

 

 

 

クロロ「それに、その髪はどうしたんだ。イカスミスパゲティでも被ったのか」

 

 

 

フェイタン「!!?」

 

 

 

ポー「クロロ団長? あはは、違いますよー。コルトピさんじゃなくて、フェイタンさん。我儘言って髪の毛を伸ばしてもらったんですけど、やっぱり似てますよね~。ねえ、フェイタンさ……」

 

 

 

ノブナガ「あの服は……!? やべえ!! 逃げろ、嬢ちゃん!!」

 

 

 

クロロ「フェイのやつ、ここでアレをやる気か。俺の店を壊す気か」

 

 

 

ノブナガ「言ってる場合か!! アンタもだ、逃げんぞ団長!!」

 

 

 

フェイタン「(心の)痛みを返すぜ……」

 

 

 

“灼熱に焼かれて(ペインバッカー)”!!

 

 

 

ポー「“驚愕の泡(アンビリーバブル)”!」

 

 

 

ノブナガ「うお!? な、なんだこりゃあ……?」

 

 

 

クロロ「ふむ……この女のオーラが防壁の泡となって俺達を包んでいる。周囲の全てを焼きつくすはずの、フェイタンの必殺技がこうも完全に遮断されるとは」

 

 

 

ポー「海底火山の近くでも、快適に生物観察ができるよう、改良してますので! それにしても、あの防護服姿のフェイタンさんって、イカみたいでますます魅力的ですね~!」

 

 

 

ノブナガ「この趣味の悪ささえなけりゃ、入団推薦してやるのによ……」

 

 

 

フェイタン「はあ、はあ……か、髪を元に戻すね……!」

 

 

 

ポー「え……」

 

 

 

フェイタン「戻すね!!」

 

 

 

ポー「わ、分かりましたから泣かないで下さいよ! はあ、でも、もったいないなあ……フェイタンさんの毛質が、一番イルミに似てるのに。コルトピさんは髪が細くて多くて猫っ毛で、色素が薄くて全体的にふわっとボリュームのあるストレートだから、髪の毛自体は全然似てませんよ?」

 

 

 

フェイタン「いいから戻すね!!」

 

 

 

ポー「はいはい、わかりましたって!」

 

 

 

クロロ「フェイが涙目だ」

 

 

 

ノブナガ「な。やるだろ、あの嬢ちゃん」

 

 

 

クロロ「確かにな。さっきの能力といい、なかなか役に立ちそうだ……ポー、といったな。お前、蜘蛛に入る気はないか」

 

 

 

ポー「はい!?」

 

 

 

クロロ「フッ……とはいえ、選択肢などはじめからないも同じだがな。俺は、欲しいものは必ず手に入れる……」

 

 

 

ポー「蜘蛛って、もしかしなくても悪名高い幻影旅団のことですよね?」

 

 

 

クロロ「そうだ。本来なら欠員時か、現団員を殺して入団しなければならないが、今日は特別な日だ。特別に、盗賊見習いとして入団させてやる」

 

 

 

ポー「そうですね……陸での強奪は興味ありません。幻影漁団に改名して、活動拠点を海にしてくださるなら、入ってもいいですよ」

 

 

 

クロロ「……」

 

 

 

ポー「あと、漁団のマークを13本足の蜘蛛から13本足のタコに変更していただけると、より一層ステキですね」

 

 

 

クロロ「却下だ」

 

 

 

ポー「なんでですか!? タコは英名でデビルフィッシュとも呼ばれる海の悪魔なんですよ!? 生でも煮ても焼いても酢でしめても美味しい上に、低カロリー高タンパク! 適応能力も素晴らしく、浅瀬から深海まで棲息することができ、種類によっては噛み付くだけで人を殺してしまうほど強い毒、テトロドトキシンを持つヒョウモンダコという毒蛸までいるという、まさに海のトリックスター!! 蜘蛛なんか目じゃないのに!!」

 

 

 

クロロ「却下だ!!」

 

 

 

フェイタン「幻影漁団、蛸……小学生に指差されて馬鹿にされるようなアダ名ね」

 

 

 

ノブナガ「やっぱこの趣味の悪さだけなんとかなったらなあー」

 

 

 

やれやれ、と嘆息するノブナガの背後で、VIPルームの扉が音もなく開いた。