成長×バイバイ×ヨークシン

 

 

 

 

「お疲れ様!!」

私はキルアとゴンに缶ジュースを手渡した。

今日正式にウイングさんから裏ハンター試験合格と免許皆伝の発表があった。


明日はゴンとヒソカの対戦。

 

 

「明日私も見に行くから。」

「うん。プレート返してやる。」

 

 

ゴンは44番のプレートを握りしめている。

 

 

「ヒソカ戦が終わった後どーする?」

「ん~9月までまだ時間もあるし・・・。
キルアくじら島一緒に来ない?」

「菜々実はどーすんだよ?」

「私?私は8月中旬までここにいるつもり。もーちょっと修行していく。」

「そっか・・・。
じゃーゴン、行こうぜクジラ島!」

 

 

ここに来てから2人は本当に頑張っていた。ハンター試験の時とは比べようもないくらいに。

知っていたはずなのに、それでも関心するほどだった。

私の方もネテロ会長との修行が大詰めに入っている。

私はキルアの様に天性のセンスはない。
半年かかってやっとゴンやキルアがG・Iでビスケと修行した応用を身につけられた。
2人は発の修行までしてたのに・・・。

なんかちょっと悔しいかも。









翌日、ゴンはヒソカに負けたものの無事プレートを返す事が出来た。
明日2人は天空闘技場に別れを告げる。

 

 

「やあ。やっぱり青い果実はいいねぇ~。僕興奮しちゃった。」

「お疲れ様。変態過ぎ(笑)」

「次は菜々実が僕を興奮させてくれるんだろ?」

「残念でした。ヒソカと戦う気はないよ。
変態に付き合うほど暇じゃないってね♪」

「残念。
まぁ~イルミに聞いたらやめといた方がいいって言われたんだけど、菜々実にもその気がないならしょうがないね。」

「イル兄なんでやめとけって言ったん?」

「僕が負けるからって。
自分でも菜々実と殺り合いたくないって。」

「あら。お誉めの言葉有り難くいただいとくは。」


 

 

私は試合後のヒソカに手を振りながら別れを告げてキルア達の元に向かった。

 

 

 

「ゴン。お疲れ様。頑張ったやん♪」

「でもやっぱり負けちゃった。」

「はぁ?お前勝つ気でいたのかよ!?」

「そーゆー訳じゃないけど・・・。」

「じゃ、どーゆーわけだよ!?」

「まーまー。どっちにしたって目的は達成できたしいいやんか。
それよりゴン、今晩キルア借りるな。」

「うん。いいよ。」

「俺は物か!?」

「細かい事は気にしない♪」

「ちぇっ!」

「はいはい、拗ねない。
じゃー夜部屋によろしく。」

「菜々実が言うのって珍しいね?」

「ゴンくん。野暮な事は聞かないの♪
これでも一様カップルなんでね。
9月まで会えないわけやから。」

「///。ごっごめん///」

「ゴン。変な事思い出すなよ。」

「・・・。」

 
ゴンは真っ赤になって俯いていた。
きっと飛行船で見た事を思い出したに違いない。

 
「まっ菜々実の事だからゴンが想像してる様な事にはなんねぇな。」

「なんないな。」

「おい!そこ否定しろよ!」

「いやだってならんもんは、ならん。」

「あははははは!!」

 
真っ赤な顔して俯いたはずのゴンがお腹を抱えて笑っている。

 
「なんで爆笑してんだよ!」

「いてっ!!!」

 
キルアはゴンの頭に容赦なく拳骨を一発。

 
「だってキルアと菜々実のそーゆーやり取り久しぶりに見た気がして、なんか嬉しくなっちゃった。」

 
キルアに叩かれた頭を摩りながらニンマリと笑っている。

確かにゴンの言う通り、ここ数ヵ月はお互いに念の修行と試合があったから、こーやってゆっくり過ごす時間がなかった気がする。

キルアと目を合わせてくすりと笑った。

お互い同じように感じたのかもしれない。

今晩はゆっくりしようかな。

 

私がこの世界に来て半年。
あっという間に過ぎて行った。

 

 

当たり前の様に過ごしていても、私はふとした瞬間にいつか自分が元の世界に帰って行く時の事を考えてしまう。

 

 

ハンター試験の途中、念修行を始めるようになって私は煙草を吸わなくなった。

別に意図的にやめていたわけでもないけど。

物思いにふける瞬間が減ってのかもしれない。

久しぶりに煙草に火をつける。

 

 

 

「はぁ~やっぱり落ち着く・・・」

 

 

 

私はソファーに座って煙草を吸いながら今日までの事を思い返していた。

これからクラピカを止めないといけない。

どーやって止めるか・・・。

 

 

蜘蛛を止めるには全滅・・・。
でもクラピカに復讐での殺しはして欲しくない。

じゃー漫画同様団長の念を封じて、時間を延ばすか・・・。

 

 

とりあえずクラピカが蜘蛛と接触する前に団長を捕まえてクラピカに念を封じさせるしかない?


煙と一緒に大きなため息をつきながら窓の外を見る。

こーやって夜景を見ていると、元の世界にいる気にさえなる。

戻ってしまったら私は夜景を見るたびにこの世界での事を思い出すに違いない。


自分の事。
これからのこの世界の流れの事。

 

 

私に大きく変える権利はない。
手を加えずに過ごす手もある。

 

 

蜘蛛は特に。

 

 

それもいいかもしれない。

クラピカには必要な試練なのかもしれない。

私は考えが考えを生んで迷路の中に紛れ込んでいく。

 

 

 

「久し振りにみたかも。
菜々実が煙草すってんの。」

 

 

そっと入ってきたのか、それとも私が考えこんでいて物音に気付かなかったのか?

声の主はいつの間にか私の目の前にいた。

 

 

 

「キルア・・・。
うん。久し振りに吸ったかも(笑)嫌?」

「ううん。
別にいいよ、平気。何か考え事?」

「ちょっとだけ。なんで?」

「いや、俺入って来たの気づいてなかったじゃん。」

「うん。ちょっとびっくりした。」

 

 

キルアは私の隣に座って心配そうな顔で私を見ていた。

 

 

「別に悩みって言っても大した事じゃないから、気にせんの♪」

 

 

私は笑顔でキルアの頭をポンポンと叩いた。
そのまま柔らかい猫っ毛の髪に指を通した。

 

 

「ちょっと髪伸びたな。」

「ああ、前髪ちょっとうざいかも。」

「ふふふ。クジラ島でゴンといっぱい遊んでおいでな。」

「なんか菜々実母親みたい。」

「それはちょっと言えてるかも(笑)
子供を旅に出す気分?(笑)」

「母親じゃ困るんだけど。」

 

 

 

そう言ってキルアは私の腕を引っ張って抱きしめた。

 

 

「私もキルアが子供じゃ困るな。」

 

 

顔をあげてキルアにそっとキスをする。

そのまままたキルアの胸に顔をうずめた。

 

 

「淋しいかも・・・。」

「俺は怖いかも。」

「怖い??何が??」

「離れてる間にもしかしたら菜々実元の世界に帰るかもって。」

「キルアに黙って帰ったりせーへんよ。
でももし、私の意志と関係なく・・・」


キルアは私が話し終わる前に優しいキスをきてくれた。

 

 

「その時は探し出す。
きっと時空って言うの?そう言うの操れる念能力者いるかもしれないし、何が何でも探し出す。」

「うん。その時は待ってる。」

 

 

どちらからともなくまたキスをした。

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★

 

 

 

 

 

「じゃー2人とも気を付けて。」

「うん。じゃー菜々実、9月にヨークシンでね!」

「菜々実、無理すんなよ!」

「は~い!!」

「あっ!ヨークシンに行く時は連絡しろよな。」

「うん。何かある時はちょこちょこ連絡するわ♪」

 

 

 

私は2人を見送った。

キルア達と次に会うのは約2ヵ月後にヨークシンでになる。

ここに来て初めての一人きりの時間かもしれない。

私はおでこに手をかざして見上げると、どこまでも透通るような真っ青な空だった。

 

 

「さっ!後もーちょっと頑張りますか♪」



 

 

ゴン達が天空闘技場を去って数日。

クラピカから連絡が来た。

ノストラードファミリーの採用試験中少しなら時間がとれるとの事だった。

私は8月末まで天空闘技場にいる予定を繰り上げて数日早くヨークシンに行く事にした。

 

 


 

★☆★☆★

 


 

 

8月上旬。

私はクラピカとの約束の為ヨークシンに来ていた。

 

 

「ごめんな。忙しいのに。」

「いや、かまわない。私の方こそ予定を合わせてもらったんだ。
もう天空闘技場はもうよかったのか?」

「うん。気が済むまで修行も出来たし、オークションの軍資金もできたし、飛行船も無事手に入ったし♪」

「一体闘技場でいくら稼いだんだ??」

「ん~トータルで180億くらい(笑)」

「180億!!!???」

「うん。毎日4試合位してたかな(笑)
あっ!でも200階では4試合は不戦敗で1試合してただけ(笑)」

「私には理解できない額だな。」

「でも飛行船買うのに結構使ったから。後はオークションの軍資金にするから半分くらいしか残らんかも。」

「半分残っていれば当分は食うに困らんな。」

「うん。これからはちょこちょこネテロ会長からの仕事も入るから問題ないでしょ♪」

「協専ハンターか?」

「うん。協専って言っても私は会長専属みたいなもんかな。」

「なるほどな。
そろそろ本題にはいろうか。」


 

 

私たちは話の内容も考慮して、
私が宿泊しているホテルの一室で会っていた。

 

 

「クラピカはどーするつもりなん?
ノストラードに入ったら、緋の目の回収を始める?それとも旅団に復讐?」

「奴らと会える機会も少ない。
このチャンスを逃す気はない。」

「旅団への復讐は全滅?
それともリーダー?」

「そこまではまだ・・・。」

「クラピカ?
旅団を殺さない方法は選べへんの?
確かに憎い気持ちはわかる。
でも私はクラピカに復讐でどんな奴でも殺しはして欲しくない。
復讐で殺しても何にも残らへん。
クラピカ自身が苦しむだけ。
それなら、当分旅団を大人しくさせる方が私はいいと思う。
先に緋の目を取り戻してあげて欲しい。」

「菜々実・・・。」

「お願!!!
キルアはずっと望んでない殺しをやってきて苦しんでた。
クラピカにもそんな辛い思いして欲しくない。
ちゃんと笑ってて欲しい。」

「・・・。」

 

 

それから数分、クラピカは私の言葉と自分の気持ちとを天秤にかけながら悩んでいた。

 

 

 

 

「旅団はつぶそうとしてそう簡単につぶせるもんじゃない。
かといって潰せへん訳じゃない。」

「菜々実の気持ちは分かっている。
少し外を歩こうか?」

 

 

クラピカは優しい笑顔で私を誘った。

 

 

「うん。天気もいいし、賛成。」

 

 

私は笑顔で答えると部屋を出た。

この笑顔のままでいて欲しい。

私は心の底からそう思った。
この笑顔を守りたいって。




「菜々実の作戦を教えてくれないか?」

「私が旅団に入る。」

「!!!」

「ってか既に入っちゃった(笑)」

 

 

私はそう言って左の肩を摩った。

 

 

 

「お前は何を考えてるんだ!!!」

 

 

クラピカの目が緋色に変わるのがわかる。

 

 

コンタクトつけずに来たんや・・・。

 

 

「ごめんな。誰にも言ってなかったんやけど。でも偽装やから大丈夫。ヒソカに協力してもらった。
条件付きで。」

「偽装!?
うん。ボノレノフって奴を捕まえてとある場所に監禁してある。
で、ヒソカとイル兄の能力で殺した事にして代わりに私が入団した。タトゥーも偽物やから大丈夫。」

「お前と言う奴は・・・。
なぜそこまでした!!」

「なんでやろ?
クラピカに笑ってて欲しいからかな。」

 

 

 

私は笑って答えた。

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★

 

 


 

 

数日前・・・。


「ヒソカ~。
お願があるんやけど。」

 

 

私は天空闘技場のヒソカの部屋を訪れた。

 

 

「おや。君の頼み事を僕が断ったことあったかい?」

「ない!!!って事でお願い♪」


「僕は何をすればいいの?」

「私を旅団に入れて。」

「・・・。」

「い~れ~て~!!!!!!!」

「じゃー誰か殺してよ。そしたら僕の推薦も付けてあげるから。」

「やだ。殺すのは嫌。
誰かと一緒で一時的に入りたいから殺すのは嫌。」

「ん~それはこまったね。
今欠員はないんだよ。」

「だから殺したふりして。
そんでもってその証人&推薦&偽装手伝って。」

 

 

 

私は笑顔でヒソカにお願いした。
悩むヒソカに私は続ける。

 

 

「クロロと殺り合う時間を作るから。」

「ん~いいよ。
でも僕一人じゃちょっと厳しいかもしれないね。」

「わかった。」

 

 

 

私は返事と同時に携帯電話をだしておもむろに電話をかけた。


「もしもし、菜々実やけど。
お願があるん。
殺したふりしたいから手伝って。

・・・・

え?報酬?ん~じゃー半年以内に2人で一回そっちに帰る。

・・・・

じゃー詳しくはまた連絡する。」

 

 

 

私はヒソカをほったらかしにして電話を済ませた。

ヒソカは珈琲を飲みながら私が電話を終えるのを待っていた。

 

 

「イル兄が手伝ってくれるからそれならいい?」

「やっぱり彼に電話してたんだね。
それならいいよ。」

 

 

私とヒソカは打ち合わせを始めた。

 

 

2日後、3人で計画通りにボノレノフを捕まえて気絶さし、イル兄にエノキで操ってもらって動画で撮影し、途中からその上にヒソカの薄っぺらな嘘で首を落とす映像を作った。

それと一緒に私はヒソカに連れられてクロロの所へとやってきた。

 

 

「はじめまして。
菜々実と言います。」

「入団希望だって?」

「うん。」

「僕の知り合いなんだけど、かなり腕も立つ。
入団条件を教えたらほら。
この通り。」

 

 

ヒソカはそう言うと私たちが作った映像を見せた。

 

 

「一様僕もその場に居合わせたから証人って事で。」

「菜々実、お前の能力は?」

「私の能力は四聖獣。
4体の四聖獣を操る。」

「操作系か?」

「特質。」

「まーなんでもいい。
お前のオーラ面白そうだな。」

「真っ黒やろ。
みんなに言われた。」

「いいだろ。
ヒソカ面倒見てやれ。」

「かまわないよ。」

 

 

私は無事あっさりと旅団への入団を済ませた。


ヨークシンの一連の事が終わったら、ボノレノフを開放して私は旅団を離れる。つもり・・・。

 

 

もし、旅団にいて損がないなら居るかも。

そんな事を考えながら私はヒソカと団長と一旦離れた。

 

 

それから今に至る。

 

 

★☆★☆★

 

 

 


 

 

大体の流れをクラピカに話した。

「私はとりあえず団長とヒソカが戦うタイミングを作る事以外はどうとでもできる。
なぁクラピカ?団長を捕まえて旅団が大人しくしてる間に緋の目集めよ?
徐念師探すには時間がかかる。
十分それまでに今以上に力も付けられる。
そしたら殺すんじゃなくてブラックリストハンターとして捕まえよ。

今のままやったら復讐だけやけど、ハンターとして捕まえられるようになろうよ。」


「そーだな。
菜々実がそこまでしてくれたんだ。
もし私が奴らと戦う事になれば今は菜々実とさえ闘わなくてはならなくなる。」

「そしたらクラピカ困るやろ?」

「あははは。確かにそれは困るな。
私はまだハンターとしてやりたい事がたくさんあるからな。」

「じゃー決まり!!
こっちの動きは逐一報告する。
で、タイミングを見て団長を連れ出す。
それでいい?」

「わかった。
私は緋の目の回収に集中するよ。」

「うん。
旅団に会っても深追い禁止な!
約束♪」

「ああ、約束しよう。」


 

 

私は無事、クラピカとの約束を取り付けた。
ここから危険な綱渡りが始まる。
 

 

クラピカとの約束のためとは言え旅団に入団した私はここからが本番。

ヒソカの手助けもあるけど、出来れば旅団にもあまり代々的な事はして欲しくない。
 

 

 

まずはオークションの襲撃を止めて無駄な犠牲者を出さずにしないと。

陰獣とのやり取りくらいに縮小すれば被害は大してないやろ。
実際陰獣事態そんなに貴重な存在でもない。
まぁ陰獣ファンに殺されそうな発言かもやけど。

 

 

クラピカと別れを告げてそのまま私はヨークシンに滞在した。

 

あとがき

 

 

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