「こんにちわ。」
「あ~~~!!!!」
私はヨークシンで買い物中に背中を叩かれ声をかけられた。
振り向くとそこには
「シャルナーク!!!」
「あれ?オレ初めて会うと思うんだけど?」
茶髪に緑色の瞳。
整った中性的な顔とは少しアンバランスの程良く筋肉の付いた二の腕の持ち主。
幻影旅団・No6
情報処理等を担当するシャルナークが立っていた。
「ヒソカに団員の顔教えてもらったから。」
驚きながらも私はなんとかごまかす。
「そーなんだ。
で?入団者だって?
団長に教えてもらったんだ。」
「でもよくわかったな???」
「黒いオーラの女の子。
それだけ教えてもらっただけだけど、オレ今まで黒いオーラなんて見たこと無かったから。
ヒソカはヨークシンにいるよっていってたから。」
「なるほど。
私見つけやすいやつやな。
折角やからお茶でもする?」
「いいよ。」
私はシャルナークを誘って近くのカフェに入った。
道沿いのオープンカフェ。
周りは女の子のグループやカップルが笑顔で午後の楽しい時間を過ごしていた。
目の前に座るシャルも特に変わった様子もなく足を組みながらリラックスした様子で椅子にかけて、当たり前の様にオレンジジュースを飲んでいる。
「蜘蛛って不思議やな。」
「そーお?」
「うん。だって私ボノレノフ殺したのに今のところ誰にも何にも言われてない。」
「ボノレノフも仲間だけど、それより強くて面白い存在。
あとは団長の命令は絶対だから。」
「私を恨んだりせーへんの?」
「ん~。ボノレノフが死んだのは悲しいけど、新入団希望で殺した相手を恨むのは違う気がするかな。
旅団のルール上避けられない事だし。」
「なるほどね。
まーこれからよろしくって事で。」
「もう何人かはヨークシンに来てるからまた紹介するよ。」
「ありがとう。助かる。」
「でもホントに何かパッと見普通な感じだね。」
そう言って確認する様に私を見るシャル。
特に戦闘態勢に入る事もないと、今日は普段着。
髪もいつもは降ろしてるけど今日は右の襟もとで結んでいる。
「確かに(笑)
旅団って独特な人多いもんな(笑)」
頭に思い浮かべた他の旅団の面子。
うわ~この中に私がいるのって結構目立つかも……
でも戦闘服ならそうでもないか……
あっマチとちょっと被るかも……
「あ、でも集合にはまだ日があるような気が……」
「確かに。でもこっちくるの早くない?」
「あ~、情報収集が仕事だからね。」
「あ、そっか。なるほど……。」
だから私と一緒にうろつくヒソカと違ってシャルは既に旅団としての仕事をこなし輝訳か……。
煙草に火を付けて街を行き交う人に目を向けた。
「何で旅団に入ろうと思ったの?」
「ん?ヒソカに誘われたから?」
煙を吐き出し平然を装いながらも、私の内心は少し焦りを見せた。
本当はクラピカの為。
でもきっと旅団にとって私が未来を知る者だとしたらあまりいい存在ではないかもしれない……ん??
待てよ。
未来を知ってると言う事は、足枷じゃなくプラスになるんじゃないのか??
今までクラピカの為に旅団を止めたり、クラピカに誰も殺させ無い為に旅団に入ったけど、良く考えれば未来を知っているからこそ、旅団の為になる。
はっきりそう言ってしまった方がもしパク姉さんに触られて記憶を読まれても問題はないはずだ。
そう確信した私は自然と口元に笑みが浮かんだ。
「どうかした?」
「うんん。何でもない。」
笑顔で返す私を少し不思議そうに見るシャル。
「買い物の続きもしたいし、そろそろ出ようか?」
私はシャルナークと雑談した後、買い物を続けてホテルへと戻った。
★☆★☆★
「ふ~なんか疲れたな・・・。」
買物の整理をさっさと済ませて一息ついていた。
ピンポン♪
部屋のベルが鳴る。
「はーい。」
来客の予定も、ルームサービスも頼んだ覚えはなかった私は、
少し警戒しながらドアを開けた。
「やあ。」
チェーンをつけたまま開けたドアの前にはヒソカとイル兄が立っていた。
私は慌ててチェーンを外してもう一度ドアを開けた。
「2人ともどーしたん!?」
「君がひとりだから晩御飯でもどうかと思ってね♪」
「仕事でこっちに来てたら誘われたんだ。」
「何かご飯結構一緒に食べてる気がする(笑)
ロビーで待ってて用意して降りるから。」
私は用意を済ませてロビーへと向かった。
「お待たせ。
海鮮が食べたい(笑)」
私の申し出にヒソカは笑顔ではいはいと返事をしてくれた。
私たちはレストランで食事を済ませて、私の宿泊するホテルのラウンジでまったりしていた。
「でも菜々実が旅団に入るって言いだしたのはちょっとおどろいた。
キルはこの事しってるの?」
「ううん。言ってない。でも合流してちょっとしたらばれるんやろーけど・・・。」
「ゴンもビックリするだろーねぇ。」
「うん。でもこれが一番いいんやと思う。
誰も死なずに殺さずに・・・。」
「菜々実は基本的には殺したくない人間かい?」
「ううん。ゼノさんとも話したことあるけど、理由なく殺すのは避けたい。
でもそれこそ仕事や生きるためなら別にそうは思わへん。」
「だから爺ちゃん菜々実にバイト頼むとか言ってたのか。」
「ん?ゼノさんなんか頼みごと??」
「うん。今日はそれも話にきたんだよね。」
「なに?殺しのバイト?」
「うん。ちょっと最近忙しくて人手が足りないんだよ。
受けてくれる?」
「別にいいよ。
特に予定もないしオークションまで時間もあるし、明日そっちむかう。
2・3日待っててもらって。」
「わかった。伝えとく。
あ!くれぐれも門壊さないでね。」
「あはははは・・・。
はい。管理人のドアから入ります。」
「ミケ大丈夫かな?」
「襲われたら叩きのめしてもっかい覚えさす。」
「じゃーよろしくね。
僕は仕事があるからそろそろ行くよ。」
「ほーい。
気付けてな。」
イル兄はさっさと席をたって行ってしまう。