ゾル家×バイト×番外編2

 

 

 

 

「さてと。
まずは取締役さん2人が一緒にいる時がてっとり早いんやけど・・・。」

私はスーツに着替えると会社の受付へと向かった。
2人と今日の午後会う約束をしていたのに連絡がない予定はどうなっているかと問い合わせてみた。

するとここから1時間程離れた場所でゴルフ中らしい。

私はそのゴルフ場へと向かった。



2人がラウンドを周り終わるのを温泉で待っていた。
だいたいどこのゴルフ場もお風呂がついているけどここは天然温泉らしい。
私は男湯に忍びこんで露天風呂の茂みに隠れた。

20分程すると2人は何も知らずに露天風呂へとやってきた。
私は青龍を呼び出すと『水の揺り籠(ブルーBOX)』を発動。
そのまま2人一気に無呼吸状態に追い込んで溺死さす。

青龍を元に戻して2人の死体を露天風呂の中へと解放した。

「2件終了。」

私はその場を後にしてゴルフ場を出た所にあるカフェへと向かった。

*****

 

 

「やあ。お疲れ様。」

「お疲れ様。」

そこには先に到着していたイル兄がいた。

「あっさり終わったみたいだね。」

イル兄は珈琲を飲みながら相変わらずの無表情ぶり。

「うん。こっちはすぐ終わると思ってたんやけど、次の方がちょいと難しいかも・・・。」

「ん~殺し屋は待つのも仕事だよ。」

「はーい。じっくり待って頑張ります。
ところでイル兄仕事は?」

「僕の分は終わり。
次は明後日かな。」

「そっか。私は親父の顔見て今日は終わりにしようかな。
特に焦ってるわけでもないし。」

「じゃー晩ご飯一緒に食べる?」

「いいねぇ~。ちょろちょろ動いて疲れたからしっかり食べたいかな♪」

「じゃー何がいいかな??
ヒソカはどーする??」

「たまにはこっちから誘うのも喜ぶかもよ(笑)」

私はすぐにヒソカに電話をかけた。

「やぁ。君から連絡だなんて珍しいね。」
「今イル兄と一緒なんやけど晩ご飯一緒に食べへん?」
「君からのお誘いは断らない事にしてるんだ。」
「あら、それはありがとう。」
「何が食べたいんだい?」
「ん~ガッツリ目がいいな。でも焼き肉って言うより色んな物をって感じかな♪」
「わかったよ。選んでおく。」
「うん。じゃー集合場所は・・・。」
「君のホテルのロビーでいいよ。」
「ありがとう。じゃー後でね♪」

私は電話を切るとイル兄に内容を伝えた。

「まだ大分時間あるけどどーする??」

「私、服そろそろ新調したいンよな。」

「じゃー折角だから付き合うよ。
俺も新調しようかな?」

イル兄と私はカフェをでてオーダーメイドの服屋さんへと向かった。

私は店主を呼ぶと生地見本を頼んだ。

ハンター試験中は元いた世界からきていた黒デニムパンツに紫の7分袖のTシャツに黒のジャケット。
天空闘技場に行ってからは適当に服を買ってきていたけどきちんと戦闘用のユニホームを作っていた。

生地の中から数種類を選ぶと店主に今持っている服を渡し色違いと、
少し違うデザインの服を注文した。

「菜々実の服って少しだけ会長のに似てるよね。」

「うん。私も昔似たようなの良く来てたからそれを可愛くちょこっとアレンジしてみた。」

私の服は着物と空手の胴着を足して2で割ったような感じ。

基本は着物ベース。
袖は着物と一緒。
ウエスト部分は着物の帯みたいになっていて、
後ろできゅっとリボンみたいに結ばれている。
裾は膝より少し短めで着物版のスカートみたいになっていてパニエがついている。
裾部分と襟の合わせ部分は黒のレース。


足元は黒の網揚げのロングブーツ。

赤色の生地、裾に蝶がら。

今回紫色の生地に桜柄。
それから追加の服は少しデザインを変更した。
オレンジ色の生地に牡丹柄。

袖が着物の袖と違って、裾に向って広くなっている。
ウエスト部分はコルセットみたいになっている。

あとは前と変わらない。

基本はこの服装。

町をぶらぶらする時は普通の服を着ている。

「では明日ホテルの方にお届けいたします。」

「お願いします。」

「もう終わったの?」

「うん。イル兄は?」

「俺はあっちの店に行こうかな。」

イル兄が指示したのはカジュアルな服が売ってる普通のお店。

「あっちでいいの?」

「うん。普段着欲しいかな。」

「了解。私も買おうかな♪」

そう言って私たちは目的のお店にはいった。
シンプルな服が多い感じの良いお店だった。
お互い数点お気に入りを見つけてレジへと向かった。

私はレジのそばに置いてあるネックレスに目を引かれた。

黒い革紐に透かし彫りの施してあるベルのトップ。
内側は黒で表面がシルバー。
彫ってある隙間からちらりと黒が見えて可愛いともかっこいいとも感じられる。

「何かあった?」

イル兄は釘付けになった私を覗き込んで視線をたどる。

「うん。菜々実やキルみたいな子には似合うかもね。」

さらっと紡がれた言葉に背中を押され、私はネックレスを2つ手にとってレジへと向かった。

*****

 

「そのネックレス・・・。」

着替えてホテルのロビーで待ち合わせをしていたヒソカと合流するとすぐにヒソカがネックレスに気づいてくれた。

「キルアとお揃いにしよーと思って2個買ってしまいました。」

少し照れていうと

「首輪みたいで可愛い。」

「首輪!!!???」

「それ俺も思った。キルは猫みたいだし、菜々実は犬みたいだし調度いいなって。」

「そー思って似合うって言ったん!?」

「うん。そーだけど?」

イル兄はたまに見せる首をクリっとかしげてどうかした?みたいな顔をしている。

「う~~。なんかショックの様な納得してしまいそうな・・・。」

私は少し複雑な気分でネックレスのトップを触った。
(ま~いいか・・・。)

私は気を取り直して食事に出るよう促してホテルを出た。


「じゃー菜々実の殺しやとしての初めての仕事の成功を祝って、乾杯!」

ヒソカの連れて来てくれたお店は少し料亭っぽい居酒屋みたいなところだった。
髪をおろしてストライプのスーツを着たヒソカと黒のパンツに黒もV字ネックの長そでTシャツのイルミ。

前から思っていたけど、こーやってどこかで食事をする時は2人とも私服。
しかもいたって普通。

おかげで毎度毎度店員さん(女性)は私達の席に来る時はほんのり頬や目もとが赤いしまつ。
(確かに普通の格好してるとこの2人めちゃめちゃ男前なんですよね。)

「何かそれ祝っていいものなんでしょうか?」

思わずヒソカの乾杯の音頭に突っ込みを入れてしまう。

「成功する事はいいんじゃない?じゃないと今頃菜々実は土の中だよ。」

「確かに・・・。まーなんでもいいか!」

私は半ばあきらめ混じりに納得してみた。
運ばれてくる料理を食べながらお酒が進む。


「もうすぐオークションだね。菜々実は何か欲しいものがあったんじゃなかったけ?」

「うん。サザンピースのオークションにでる『幻の銘酒セット』」

「お酒ならわざわざオークションじゃなくてもなんとかなるんじゃないの?」

「それが私のいた世界の有名な、しかも私の大好きなお酒が数本混ざり込んでる。」

「ほんとかい?それは僕も是非飲んでみたいね。
菜々実のお酒の趣味はとってもいいからね。」

「そーお?お酒って好みがでるから相手がどう感じるかあんまりわからんけど、
自分が美味しいって思うものはとりあえず進めてみるかな。
後は一緒に飲んでいくうちに相手がどんなお酒好きかわかってくるから、
そしたら後はなんとなくかな。」

「ちなみに菜々実はどんなお酒がすきなの?」

「ん~私は甘くて口当たりのいいのかな。
さっぱりしたのも好き。
辛口はあんまり好きじゃないかな。
イル兄は?」

「俺は何でも平気かな。
気分で違いかもしれないけど。」

「ヒソカはワイン白より赤が好きよな。」

「そうだね。でも白の甘めのもたまに飲みたくなるかな。
菜々実は白だけど。」

「うん。イル兄はロゼ飲んでる事多いよな。」

「俺はすっきりした方が好きかな。」

私たちは相変わらず他愛もない会話を楽しみながら食事を済ませた。

「今日はありがとう。」

「明日終わったら報告の電話よろしく。」

「うん。わかった。
ヒソカもまたねぇ」

「うん。また食事誘うよ。」

ホテルの前まで送ってくれた2人に別れを告げて部屋へと戻った。
明日仕入れに出かける所を殺しにいく。

ターゲットの予定と合わせて私は早めにベットにはいった。

*****

 

翌朝。

昼前に店を出るターゲットを確認すると私は白虎に乗って後を追った。

車通りの少ない田舎道のハイウェイでトイレ休憩に寄ったコンビニ。
トイレは外に設置されている。

(チャンス。)

私は白虎から飛び降りるとトイレから出てくる瞬間に『鋼の刃(ホワイト クロー)』を発動。

白虎の刀の様な爪がターゲットの首を掻き切った。

思ったよりも簡単だった。
3件とも護衛がいる訳でもなく。
個人行動だったから?

私の能力が瞬殺可能だからか?

結局どれも一般人。
念能力者ならこう簡単にはいかなかったはず。

私は白虎に乗って町まで戻った。

イル兄に報告の電話を入れてホテルで服屋さんからの服を受け取って、
飛行船でククルーマウンテンを目指す。

「何かでも疲れたかも・・・。」

私は初めての殺しの仕事に緊張していたらしい。
自分でも気がつかなかった緊張の糸がほどけて飛行船のベットへと身体を沈めた。



*****

 

「お疲れさんじゃったな。」

出迎えてくれたのはゼノさん。

「いっつもお迎え来てもらってすいません。」

私は挨拶を済ますと今回の仕事の報告を済ませた。

「シルバが待ってあるぞ。」

そう言われた私は報告もそこそこにシルバさんの部屋へと向かった。

「菜々実良くやったな。
金は口座に振り込んである。」

「ありがとう。
あんな感じで良かったん??」

「ああ。カルトにやらすには少し不安があったからな。
かといって俺やイルミの出るほどでもない。
助かったぞ。」

「いえいえ。お仕事ですから。」

私はとぼけてみせるとシルバさんはそれはそれは盛大に笑っていた。

 

 

広間でまったりする私の携帯がなり、着信相手を確認もせずにでた。

 

 

「はいはい。ど~したん?」

 

着信の相手はキルア。

 

「菜々実?元気?」

 

「元気やで♪」

 

「実は頼みがあってさ。」

 

 

8月も下旬。

クジラ島にいるキルアからの電話。

 

私はその2つを思い浮かべ、キルアの頼みを推測した。

 

 

「だめ。お金は貸しません。

GIは自分で何とか確保する方法を考えなさい。」

 

 

「……。」

 

 

電話の向こうのキルアは要件を話す前にあっさり断られて思わず黙り込んでいる。

 

 

「あ~~!!!!も~~!!

わかったよ!!俺達でなんとかするよ!!」

 

 

きっと電話の向こうで銀髪をガシガシ掻きながら半分ヤケクソになってる姿は簡単に想像ができる。

 

 

「よろしい。

じゃ~頑張ってね。」

 

「うん。じゃ~ヨークシンでな。」

 

 

「了解。」

 

 

込み上げてくる笑いを噛み殺しながら電話を切った。

 

 

「なんだ?キルアは金がないのか?」

 

 

「ううん。普通に生活する分にはあるんやけど、かなり高額なアイテムが欲しいみたい。ゴンのお父さん探しの重要アイテム。」

 

 

「貸してやらんくていいのか?」

 

 

「いいのいいの。大丈夫やから。ふふふ。」

 

 

そう大丈夫。

GIを手にしなくてもあの2人は無事にクリア―までたどり着く。

もちろん少し手を貸す気ではいるけど。

 

 

すると数分後シルバさんの携帯にミルキから電話がかかってきた。


「ミルキなんて?」

「金がいるそうだ。
10人程やるから100億かせだと。」

「ふ~ん。ミルキ今どこ?」

「この部屋に向かってる。」

そう言い終わると同時に部屋のドアがあいてミルキが入ってきた。

「菜々実きてたのか?」

「うん。ミルキお金いるん?」

「ああ。今の手持ちじゃ足りない。」

「ふ~ん。ヨークシンまで乗せってってあげようか?」

 


私はニヤリと意味ありげに笑って見せた。

 

 


「キルアとヨークシンとG・I・・・。」


 



ミルキに聞こえるようにだけそっと囁く。

 



「お前なんで!?」

 

「ふふふ。教えてあげない。」

「ちっ!どうせキルから聞いたんだろ?」

 


ミルキはそのまま飛行船にのってヨークシンへと向かった。

 

「シルバさん、ゼノさん。私もそろそろヨークシンに戻ってキルアと合流しなあかんから、行くな。
また遊びに来るから。バイト合ったら教えて。手伝いにくるし。」

私はそう言い残してゾル家を後にした。