11 ハングリー×ハングリー×二次試験!!

 

 

 

 

ハンター試験二次試験の課題は料理!!

 

 

 

試験官はメンチさんとブハラさんの美食家コンビだ。

 

 

 

メニューはもちろん、豚を使った料理!

 

 

 

この森に住んでる豚なら何でもいいよ~!!とのことなんだけど、ビスカの森に住んでる豚は、超凶暴な巨大ブタ、グレイトスタンプただ一種類のみ、とのことなので。

 

 

 

ヒソカさんとちびヒソカさんが、争うようにして狩って来てくれました。

 

 

 

そ、その間に、私はバッチリ焚き火の準備をしてたんだから、サボってはいないもんね!

 

 

 

それはそうと……諸君。

 

 

 

私は高いところが苦手なのである。

 

 

 

よって、この試験、クモワシの巣にダイビングなんかすることのないよう、全力を持って挑もうではないか!!

 

 

 

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!

 

 

 

たぎれ炎!!!!

 

 

 

いざ、クッキング!!

 

 

 

「トモ、お肉コゲてる★」

 

 

 

「カタカタカタカタ……(というか、燃えてる)」

 

 

 

「ぎゃあああああああああああ!!!!」

 

 

 

慌ててバケツで水をぶっかける私。

 

 

 

その傍ら、ヒソカさんは完璧なミディアムレアで焼きあがったお肉を(トランプで)うすーくスライスし、イル……ギタラクルさんはお肉と色とりどりの野菜を、こちらも奇麗に串刺しにして、炭火で焼きあげたものにオリーブオイルと塩コショウで味付けなんかしている。

 

 

 

なんだこの、料理系男子!!!

 

 

 

「トモは、料理があまり得意じゃないんだね☆」

 

 

 

「はっきり下手だって言って下さいよ……」

 

 

 

「カタカタカタカタカタ……(ははは。そんなの言えるわけないじゃない。料理が下手な人に失礼だよ)」

 

 

 

「ど、毒舌にもほどがある!!!」

 

 

 

とはいえ、この結果じゃあ仕方ない。

 

 

 

真っ黒焦げ+水浸しになった豚の丸焼きだったものを眺め、ちびヒソカさんがやれやれ、という風に首を振っている。

 

 

涙目になる私の目の前に、何かが差し出された。

 

 

 

薔薇の花のように盛り付けられた、ピンク色のローストポークだった。

 

 

 

「はい、トモの分☆」

 

 

 

「え……!そ、そんな、ダメですよ!ヒソカさんが作ったものなのに」

 

 

 

「そ。ボクが作ったものをどうしようがボクの勝手だろ?トモには側にいて欲しいんだから、こんな試験で落第になんかさせないよ☆」

 

 

 

「ヒソカさん……」

 

 

 

「カタカタカタ……(それに、他人に手を貸しちゃいけないってルールはないからね。俺も、キミにはヒソカとは別の意味で興味があるから)」

 

 

 

ひょいひょいひょいっと、さりげなく彩り野菜を添えてくれるギタラクルさんである。

 

 

 

二人とも。

 

 

 

二人ともおおおおおおおおおおーーー!!!

 

 

 

「ありがとうございますううううーーー!!!」

 

 

 

「トモ。嬉しいのは十分伝わったから、鼻水拭いて審査に行ってきなよ☆ボクラは、もう少し列が空いてから行くから」

 

 

 

「は、はい!ありがとうございますっ!!」

 

 

 

ぴょん、と肩に飛び乗ってきたちびヒソカさんと一緒に、私は喜びいっぱいの胸を抱えたまま、ブハラさん目指して走った。

 

 

 

やっぱり。

 

 

 

怖いけど、二人とも良い人だ!!

 

 

 

 

 

 

 

                 ☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

「クックック!トモったら、あんなに喜んじゃって……可愛いなあ」

 

 

 

「カタカタカタ……(ねえ、ヒソカ)」

 

 

 

「なんだい、ギタラクル?」

 

 

 

「カタカタカタ……(彼女のこと、本気なの?)」

 

 

 

「さあ、どうだろうねぇ☆」

 

 

 

「カタカタカタカタカタ(本気じゃないんだ。ふーん、よかった。じゃあ俺がもらっちゃおっと)」

 

 

 

「★」

 

 

 

シュカーン!!

 

 

 

と、喉元目掛けて飛んできたスペードのエースを、紙一重で避ける。

 

 

 

「カタカタカタカタカタ……(危ないなー、やめてよ)」

 

 

 

「トモはボクの★手を出したらキミの弟がひどい目に遭うからね……?」

 

 

 

「カタカタカタカタカタ……(出さないよ。冗談なのに。ムキになるなんてヒソカらしくないね。気持ち悪い。恋してるの?)」

 

 

 

「……」

 

 

 

「カタカタカタ……(ねーってば)」

 

 

 

「痛いよ。エノキでほっぺた突っつくのやめてってば★……そうだなあ。これを恋って言っていいのかはまだ分からないけど、トモって面白いよね☆」

 

 

 

「……」

 

 

 

「ギタラクル。ボクの後を追ったってことは、トモはきっと見たんだよね。ボクがあいつらをメッタ殺しにしてるところをさ……なのに、態度が変わらない。出会った時もそうだった……普通に接してくれる。それがすごく不思議で、自分でも驚くぐらい、惹かれてるんだよねぇ……☆」

 

 

 

「カタカタカタ……(だからさー、それって恋なんじゃないの?)」

 

 

 

「……分からない★」


 

 

今はまだ、と意味深に付け足す奇術師に、ギタラクルはくりっと首を傾げた。

 

 

 

「カタカタカタ……(素直じゃないねー)」

 

 

 

 

 

 


 

 

                     ☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うんまあああああああああああああああああああああい!!!!」

 

 

 

「うん!肉への火の通り具合。芸術的なまでに繊細な薄切り。それに、焼き野菜による見た目の華やかさが加わって、言うことないわ!アンタ、合格!!」

 

 

 

「よっしゃあーーっ!!」

 

 

 

ブハラさん、メンチさんともに一発合格!!

 

 

 

流石はヒソカさんとイルミ兄さんの合作料理だ……うっ、改めて考えると、そんなレアな代物、一口くらいこっそり食べとけばよかった!!

 

 

 

「くそう、シクッた……」

 

 

 

 

「おい、トモ!」

 

 

 

「あっ!」

 

 


この声は!

 

 

 

ヒュウ、と吹かれた軽い口笛に振り向けば、先に合格をもらったゴンとキルア、側には金髪の美少年クラビカと、長身の顎髭ダンディー、実は十代レオリオの姿が。

 

 

 

「キルア~ゴンんんんん~~!!んああ~!ほっとするわ、この癒し空間!!」

 

 

 

ムギュっ!

 

 

 

「うわっ!?おい、コラ!急に抱きつくなよ!!」

 

 

 

「だって、だってだって……!!」

 

 

 

あの二人、優しいけどやっぱ怖いんだもん!!

 

 

 

ゴンとキルアを両手で抱きしめてぎゅううっとやっていると、後ろにいたクラピカがクスッと笑った。

 

 

 

うはー、美しい!!

 

 

 

「なんだ、ゴンとキルアの知り合いだったのか。あのヒソカに気に入られているようだったから、どんな危険な人物なのかと警戒してしまった」

 

 

 

「わ、わたしは別に危険なんかじゃないですよ!」

 

 

 

「すまない。ああ、そういえば自己紹介がまだだったな。私の名はクラピカという。よろしく」

 

 

 

「と、トモです。よろしく……」

 

 

 

ああああああああああ……!!

 

 

 

やっぱええわあ~!

 

 

 

沢城クラピカ生ボイスええわあ~~!!

 

 

 

でっへへへへへ、と内心でヨダレを垂らす私を、ゴンが心配そうに見つめてくる。

 

 

 

 「大丈夫だった?トモ。あのあと、オレのあとを追っていったって、キルアに事情を聞いて心配してたんだ。怪我とかしてない?」

 

 

 

「うん、平気!最初のマラソンでちょっと足をくじいちゃったけど、大したことないから」

 

 

 

「見せてみな。俺はレオリオというものだ。これでも医者志望でな。応急処置くらいならしてやれる」

 

 

 

「ええ!?いいんですか?」

 

 

 

「いいもなにも、いつまでもくじいたまんまでいるわけにもいかないだろうが。ま、アイツにずっとお姫様だっこされていたいって言うんなら、話は別だが?」

 

 

 

「ぅおねがいしまあすっ!!」

 

 

 

ダッハッハ、と笑って、ブーツを脱いだ私の足に、シップをはって包帯を巻いていくレオリオである。

 

 

 

おおー、慣れた手つきだ。

 

 

 

流石はお医者さん志望……そういえば、本編じゃなかなかこういう治療シーンってなかったよね。

 

 

 

皆、怪我なんかしないからね。うん。

 

 

 

「ト・モ★帰りが遅いと思ったら、生足出してナニしてもらってるの?」

 

 

 

「!?」

 

 

 

うひいっ!

 

 

 

ふ、不穏な気配!!

 

 

 

振り向けば、殺気ムンムンなヒソカさんと、人形のようにギタラクルさんが立っている。

 

 

 

こ、この余裕しゃくしゃくな様子だと、二人とも豚料理は合格したんだろうなぁ……。


 

 

「ヒ、ヒヒヒヒヒソカさん!後から急に声かけるのやめて下さいよっ!!」

 

 

 

「そーだぞ!!別に俺にゃあやましい気持ちなんざ、これっっぽっちもねーんだからな!!だいたい、どーせセクハラするなら、あの美食ハンターのメンチさんのようなムチムチボインでセクシーなお姉さまをだなーー」

 

 

 

「……ヒソカさん、レオリオヤッちゃっていいっすよ」

 

 

 

「了解☆」

 

 

 

「んぎゃああああああああああ!!じょ、冗談だっての!治療してやった恩を仇で返すな!!全く、酷ぇよな、クラピカ!」

 

 

 

「今のはレオリオの発言に非がある」

 

 

 

「うん!俺もそう思う!」

 

 

 

「オレもオレもー!」

 

 

 

「ぬおおおお!!ゴンキルアお前らもかあー!!」

 

 

 

「カタカタカタ……(あはははは)」

 

 

 

なあんて、わちゃわちゃやっている間に、一品目の課題は終了!

 

 

 

メイン審査員がブハラさんだから、グレイトスタンプが捕まえられさえすれば、調理方法が丸焼きでも合格できたみたい。

 

 

 

「でも、二品目はそうはいかないわよ!!」

 

 

 

ズン!

 

 

 

とFカップを突き出して、美食ハンター審査員メンチさんが、不敵な笑みを浮かべた。