そして、その癒術師の守護者は契約時に特殊な条件を3つ満たさなくてはならない。
「飛影には話したのか?」
じっと考えこんでいたコエンマが口を開くと同時に顔をあげた。
「まだはなしてない。」
「そうか…。」
「ねぇコエンマ?私やっぱり…」
「鳴鈴実。お前は最後の癒術師だ、霊界はお前を守る必要がある。
癒術師がいなくなる事は魔界・霊界・人間界に少なからず影響をもたらす。
ましてや二つの仙華球を所有するお前は特別な存在じゃ。」
私が言い終わる前にコエンマは言葉を遮って有無を言わせない目で私を見つめた。
どんどん視界が霞んでいく。
「飛影、受け入れてくれるかな?」
「それはわしにもわからん。
まずはきちんと説明して、話し合う事じゃ。
おい!ジョルジュ!」
コエンマは外にいるジョルジュを呼ぶと、霊界への報告に向かわせた。
「わしから言える事は、この事実が公になる前にさっさと契約して、お前の立場を確立させろ。
そうする事でお前の命が危険にさらされる事は少なくなる。」
「わかってる。分ってるけど…。私への危険は少なくなっても、今度は飛影が…。」
二つの仙華球を持つ者の守護者が受け入れなければならない条件。
癒術師との命の共有。
霊界の監視。
守護者の死後、新たな守護者との契約方法。
「やつが受け入れればの話じゃが…。」
私は黙り込んでしまい、いつの間にか溜まっていた涙が溢れだしていた。
頭の中を3つの条件がぐるぐると回る。
しばらく泣きながら悩んでいると、部屋のドアが開いて飛影が立っていた。
きっと邪眼で私達のやり取りを見たんだろう。
眉間に皺を寄せたまま、私の手を引くと自分の後ろへと引き込み、コエンマを睨みつけた。
「何を話していた?」
「お前にも関係のある話じゃ。
試合が終わったんならホテルに帰ってゆっくり話し合え。」
そう言ってコエンマは部屋後にした。
「試合どーなったの!?」
「勝った。が、蔵馬を見てやれ。」
「わかった。」
私はそう言うとホテルへと慌てて向かった。
蔵馬に一通りの治療をすると部屋へと戻った。