寝がえりを打とうとすると腰に回された腕に引き寄せられ目が覚めた。
「ふふふ」
見上げると飛影は規則正しい寝息を立てていた。
普段の態度からは想像できない程なんとも可愛い寝顔だった。
私はそっと頬にキスすると飛影はうっすらと目を開けた。
「おはよう。」
「ああ。」
「試合見に行くんでしょ?」
そう言うと名残惜しそうに私にキスをするとベッドから起き上がった。
「先に隣に行っている、ゆっくり支度してから来い。」
そう言って自分の服を持ってリビングに向かった。
私はシャワーを浴びて着替えると蔵馬達のいる部屋へと向かった。
「おはよう。」
「鳴鈴実。お…!おはようがざいます。」
私は蔵馬達の部屋に入ると私を見た蔵馬が一瞬固まっていた。
「どうかした??」
「いえ。鳴鈴実、よかったですね。」
そう言って蔵馬は優しい笑顔で私をフワリと抱きしめてくれた。
「うん。心配かけてごめんね。」
そう言って私は蔵馬の気持ちに応える様に背中に手を回した。
「飛影。鳴鈴実の事よろしくお願いしますね。」
蔵馬は私を抱きしめたまま飛影の方へと顔を向けると真剣なまなざしで飛影を見ていた。
「フン、それよりさっさとその手を離せ。」
「おいおい!お前ら何の話してるんだよ!?俺にも分かる様に…!」
桑原君の言葉を最後まで聞く前に私は蔵馬に背を押され桑原君と対面した。
「おい!ちょっと待ってくれ!守護者は探してるんじゃなかったのかよ!?」
桑原君は私の左胸の刺青を指差して大声を出していた。
「騒がしいぞ。」
飛影は桑原君を睨みながらため息をついていた。
「守護者探しはおしまいになったんですよ。ねっ飛影?」
「おい!さっきのお願いしますって言うのはもしかして…。」
「何か文句でもあるのか?」
飛影はまたもや桑原君を睨んでいる。
「飛影!睨み過ぎ!!
別に桑原君が悪い訳じゃないでしょ!?」
「ちっ!」
「ホントに飛影なのかよ!?」
「ホント、なんなら飛影脱がそうか??」
私は笑いながら飛影に近づくと
「おっおい!
なにするんだ!」
抵抗する飛影を無理やり脱がすと桑原君は左胸にある黒い蓮の花の刺青を指差して絶句していた。
「ってことはだな…飛影と鳴鈴実ちゃんが…まっまっ交わっ!!!!!」
良い終わる前に珍しく蔵馬は桑原君の頭に拳骨を埋めていた。
「すいません。思わず…。」
苦笑いをしながら無意識に殴っていたらしく、桑原君に謝っていた。
「それよりさっさと会場へ行くぞ。」
いつの間にか服を着て、飛影はドアの前に立っていた。
「行こう。」
私は飛影の前を通ってドアに手をかけた。
続く様に3人は部屋を後にした。
会場に着くとすでに試合は始まっていた。
しばらくして幽助と覆面が会場へとやってきた。
「なんだその頭の上のふざけたものは?」
「話したくもねぇ」
飛影と軽く会話をした後、幽助は私の刺青に気付いた様子で桑原君同様驚いた反応をしていた。
蔵馬や桑原君達は守護者が飛影である事にはあえて触れずに話をしていた。
「良かったな。守護者が見つかってよ。」
幽助はそう言って私の頭にポンポンと手を置いて自分の事のように笑ってくれる。
「うん。ありがとう。」
「俺にも紹介してくれよな。」
そう言う幽助になんて答えようかと悩んだ瞬間蔵馬がさっと答えてくれる。
「そうですね、きっと幽助も気に入りますよ♪」
そう言ってわざと飛影を見ていた。
その後飛影は雪菜ちゃんの兄探しの話でも幽助や蔵馬に遊ばれていて、私は何も言わずにクスクス笑ってた見ていた。
すると目の前に戸愚呂チームが姿を現し、一瞬緊張が走るなか、戸愚呂は幽助に合図すると私を指差してニヤリと笑った。
私守護者を見つけた事に気付いたのだろう。
私が殺気を放とうとするとさっと私を制する様に目の前に飛影の腕で遮られると、飛影は妖気を放出して戸愚呂を威嚇した。
戸愚呂は『ヒューッ』と口笛を鳴らすと会場から姿を消した。
「おい!飛影なんだよさっきのは!?お前あいつと何かあったのか!?」
幽助は戸愚呂と飛影のやり取りに何かを感じて飛影に詰め寄っていた。
「フン、奴のオーナーに少々な。」
幽助はよくわからないような顔をしながらもさらに登場してきた裏御伽チームに目を向けていた。
開いてチームの挑発に乗るほどのものでもなく、単に死々若丸の遠吠え?になっていた。