翌朝、私は霊界に行く準備を済ませると隣で眠っていた飛影の頬にキスをした。
「行ってきます。」
そっと囁くように言葉を残して顔を放そうとした瞬間、飛影は目を開け私の腕を掴んだ。
まだ少し眠そうなその顔が可愛くて思わず笑顔になってしまう。
「行くのか?」
「うん。準決勝頑張ってね。くれぐれも今日は黒龍波は打たないように。
今の飛影の妖力なら大丈夫だと思うけど、決勝戦前だから…。」
「わかった。何度も言うな。」
昨日の夜から私は何度も同じ事を繰り返し飛影に言い続けていた。
『準決勝で黒龍波は打たないように』と。
私との関係が変わった事で飛影の妖力は増していた。
きっと今の飛影なら黒龍波を打っても食われる事はない。
ただ、まだ少しだけ私の妖気と飛影の妖気の同調が不安定なのも確かだった。
「約束ね。まだ早いからもーちょっと寝てて。じゃー行ってきます。」
そう言うと飛影は優しいキスをしてから私の手を放してくれた。
飛影がもう一度目を閉じたのを確認すると私は霊界へと向かった。
結局昨日、散々飛影は冷やかされていじめられていたからきっと疲れてるな(笑)
幽助は夕方、玄海さんと出ていったきり帰ってこなかった。
蔵馬は心配するなと言ってくれたけど、今も帰っている気配はなかった。
準決勝。
決して楽に勝てる相手ではないと思う。
もしかしたら3人で戦う事になるかもしれないと言う不安を抱えながらも私は閻魔大王の元に向かった。