「あ~っっ!!!ったく、ついてねえ~コフーーーッ!!!どーしよ!!イル兄にオンラインゲームのことバレちまったじゃんかよ~っ!!あわわわわ、帰ってくる前になんとかしねーと、絶対パソコンごとぶっ壊されちまう!!バックアップ取って、どこかに隠さなきゃ!コフーーっ、恨むぜポー姉!!」
バタバタバタバタ!!!
ドスドスドスドス!!!
ミルキ=ゾルディック、19歳。
その身体に蓄えに蓄えた脂肪、100キロ以上。
普段はシルバに怒鳴られようが、イルミに真顔で脅されようが、何が何でも自室から出ようとしないミルキだが、今回ばかりは事情が違う。
巷で人気のPCゲーム、HUNTER×HUNTERオンライン。
毎日毎日、仕事の日も休みの日も、血のにじむような努力と涙とプレイ時間の麗しい結晶体。
「俺のカンストミルキーユちゃんを死なせてたあまるかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!」
走った。
バックアップを終えたノートパソコンを抱え、およそ100キロの肉塊を抱え、ミルキは走った。
彼の秘蔵のスナック菓子類を溜め込んだ、ゾルディック家台所地下倉庫に向かって。
しかし、食堂の扉をハデに開いたところで、誰かと打つかった。
「ぬおっ!?」
「のわあ!?じーちゃん!!なにやってんだよ、こんなとこで!!」
「いたたたた……なんじゃ、ミルか。ワシは、今日の夜から仕事が入っておるからな。一足先に夕食を頂こうと思ったんじゃよ」
「飯ぃ?」
「ああ。じゃが、今日はシルバとキキョウさんがどっちも出かけておるからな。食べるもんがなくて困ったわい」
「即席のカップ麺で良ければ、俺のがあるぜ?へへ、一個100万でどう?」
「はあ~、全く。孫じゃというのに冷たいのぅ、ミル。早くポーが帰って来てくれればいいんじゃが……」
「今日は無理だろ。なんかさ、イル兄と天空闘技場で滅茶苦茶強ぇ二人組の暗殺者と戦うつもりらしいよ?」
「なにっ!?だ、大丈夫なのか」
「イル兄がついてるし、大丈夫なんじゃないの?……ま、俺としてはポーはともかく、イル兄はちょーっとばかし重症で帰ってきてくれたほうが都合がいいんだけどなコフー」
「馬鹿なことを言うなミルキッ!ああ、心配じゃ。イルミの奴、そんな奴らの挑戦を受けるとはあやつらしくないの」
「いってー、殴んなよなあ……。あ、そうだ。じいちゃん、冷蔵庫の中に、確かポー姉が作り置きしといてくれたおかずと納豆があるぜー。これでも食っとけよ、ほら」
「おお、すまんな。はあ……それにしても、シルバとキキョウさんはどーこに行ってしまったのかのう……」
イイダコと大根の煮物、イカのお刺身、大学の実験で作ったという自家製納豆を抱え、ゼノ=ゾルディックは深々と息を落とした。