御無沙汰しておりますm(__)m
オリジナルの方に手一杯でして(笑)
今回は由との楽しい会話の中に出てきた『眼鏡』『紐(ロープ)』の2ワードで・・・ぐふふふふ。
「あれ?菜々実どっか行くのか?」
「うん、ちょっと買い物に・・・。」
やばい。
気付かれる前に出るつもりだったのに!
朝早くからベッドを抜け出し。キルアが起きる前に家を出ようとイソイソと用意をしていたのに、いざ出発!の瞬間キルアが目を覚ましてしまった。
「買い物?こんな早くから?」
「うん、ヨークシンまでちょっと飛ぼうかなと・・・。」
「ジェットで行くの?」
「うん。ほら私明日は仕事やから。」
「俺も行くからちょっと待って。すぐ用意する。」
そう言ってまだ眠そうな目を擦りながら身体を起こすキルア。
今日は私1人じゃないと意味がない。
私は今日を選んだ理由を思い浮かべ慌ててキルアに笑顔を向けた。
「え!?今日はゴンが遊びに来るんじゃなかったん?」
「あ~そうだった。じゃ~気ぃ付けてな。」
「うん。行ってきます。」
いつもと特に変わらない朝。
笑顔で部屋を出てすぐに、私は閉めたドアから一瞬で移動を開始した。
猛ダッシュでジェットに乗り込み崩れ落ちる様にソファーに座った。
「よかった~。」
背中だけでなく全身びっしょりな程の冷や汗。
作り笑顔の所為か頬がまだひきつっている。
何でこんなにコソコソ焦ってるかって??
今日はヨークシンに買い物に行くんです。
それはウソではありません。
ただ買う物に問題(?)があるだけで・・・。
ジェットの機内で軽く朝食を済ませ、降り立ったのは久しぶりに訪れたヨークシンシティー。
空港のラウンジに待ち合わせ相手の姿を探していると軽く肩を叩かれた。
現れたのはオレンジの髪にスーツの長身の男。
「菜々実遅かったね?」
「ごめんヒソカ。
私が誘ったのに待たせてもた。」
「かまわないよ。ところで今日の買い物、本人は連れてこなくて大丈夫なのかい?」
「うん。サイズはいっつも家に来てくれる洋服屋さんに聞いてきたから。」
「そうかい。なら大丈夫だね。あ!写真は?」
「ばっちり!」
そう言って鞄から出したのは1枚の写真とメモ用紙。
ヒソカはそれを確認すると『行こうか』と言ってラウンジの出口に向かった。
私はその後を追う様にパタパタと駆け寄った。
目指すはオーダーメイドの服屋さん。
前にイル兄と一緒に行ったあのお店。
仕事は早いし、生地も豊富。
こうして私の悪巧みの1日が始まるのだ・・・ぐふふふふ。
「菜々実?行くんだろぉ?」
ニヤニヤと無意味に笑う私に首をかしげながら催促するヒソカ。
私は慌ててヒソカの隣に駆け寄った。
「さっきから何やってるんだい?」
「いや、気にせんといて。」
「まぁいいけど。」
何度も足を止めニヤニヤする私はそりゃヒソカから見れば怪しさ満開だろう。
でもヒソカに『怪しい』なんて言われるのはごめんだ、と思い妄想をストップさせた。
★☆★☆★
「こんにちわ~!!」
勢い良くお店のドアをあけた。
「いらっしゃいませ。本日はどう言った物を?」
優しい印象の店主に笑顔で指差したのは男性用のスーツの棚。
「かしこまりました。採寸させて頂きたいのでジャケットお脱ぎになってもらって構いませんか?」
そう言って声をかけた相手はヒソカだった。
「あっ!違います。
つくて欲しいのはこのサイズなんです。」
そう言って私が出したのはさっきヒソカに持ってきたか確認されたサイズを書いたメモ用紙。
「では生地見本をお持ちしますね。」
店主は慌てる風でもなく、落ち着いた様子で店の奥に消えて行った。
「それにしてもどうしてキルアを連れてこなかったんだい?
休みが合わない訳じゃないんだろ?」
「うん。でも内緒で作りたかったんよ。バレンタインのプレゼント。」
と言うのは口実。
単に私がスーツ姿のキルアが見たいだけ。
最近身長も伸びてきて、大人びた表情を見せる様になったキルアに来てほしい。
そして更にもう一つのオプションも・・・。
「ふ~ん。」
ヒソカは納得がいかない様な表情を浮かべているが気にしない。
暫くして店主が持って来てくれた生地見本をみながら生地・形を決め、夕方取りに来る約束をして店を出た。
「さて次はここ。」
足を止めたお店の看板には『眼鏡』の文字。
写真を持ってきた理由はこれ。
「スーツに眼鏡・・・。
菜々実ってインテリな感じが好きなの?」
「クールビューティー大好きです!!」
目をキラキラさせながらヒソカを見上げた。
ヒソカは突っ込むこともせずに店内へと入って行く。
ここでは店主に写真をコンピューターに取り込んでもらって、コンピューターのなかでシュミレーションしてもらう。
何点か悩んだ末、決めたのはシルバーの細い縁に細めの眼鏡。
同じデザインの黒縁の2本。
度を入れる必要はないのですぐに購入。
とりあえず『買う』という目的を果たした私は満足感たっぷりで街を歩いていた。
「じゃ~時間もあるしお茶でもしようか?」
「賛成!!」
元気に手を挙げて返事をすると、ヒソカは大通りを走るタクシーを止めた。
★☆★☆★
「で?今日の買い物の品をキルアに着せるのかい?」
「うん!!って言いたいとこなんやけど・・・素直に着てくれるかどうか・・・。」
キャラメルマキアートをズズズっとワザと音を鳴らして飲む。
「じゃ~キルアに交換条件でしてもらうって言うのはどうだい?」
「交換条件??」
キルアの望む事を1つ聞く。
そして代わりにキルアにスーツに眼鏡の着用を頼む。
その提案に多少不安はあるものの、私は最終はその手を使ってする事に決めた。
無事に全ての目的を果たし、スーツとメガネを持ってククルーマウンテンへと帰宅した。