今回はつぶやきにUPしてた様にシルバさんと菜々実ペアでのバイトです。
真面目に戦闘シーン書こうかな…
なんて言いながら挫折したりして(笑)
朝焼けが眩しい時間。
大きな欠伸をこぼしながら広間に入るとまだ誰も起きてきていない様で、広間はガランとそていた。
「おはようございます。
朝食はどーされますか?」
ソファーに身体を沈めて煙草を吸っていると後ろから声をかけられた。
「おはよう。みんなは?」
「本日ゼノ様、シルバ様はお仕事でお昼頃のご帰宅とのことです。
イルミ様、ミルキ様はまだお部屋に。キキョウ様、カルト様は数日お出かけに。
キルア様はまだ…。」
「うん。たぶんまだ起きてこんと思う。
昨日遅かったから。
とりあえずコーヒーもらえます?」
「かしこまりました。」
丁寧にお辞儀をして去って行く背中を見つめながら煙草を消して窓の外を見ながら大きく伸びをした。
ゾル家で生活する様になって、最初のうちは執事さんや、メイドさんとのやり取りには苦労した。
敬語で話したり、自分ですると言うと少し困った顔をされたりしていたから、ゴトーさんと話をしてどこまでしてもらうか話し合った結果、基本は食事・洗濯は任せて、掃除は週に1回お願いする事になった。
でもキルアと2人の日には食事を作る事もある。
「さてと、今日は特に用事もないし、のんびりしようかな♪」
「休みなのに早いね?キルは?」
後ろから声をかけられ振り向くと私服のイル兄が広間へと入って来ていた。
「イル兄おはよ。
キルアまだ寝てるで。」
「そーなんだ?で?菜々実はなんでこんなに早起きなの?」
真黒な瞳でまっすぐ私を見ながら首をコテンと傾げているイル兄がなんだか可愛く見えて少し笑ってしまった。
「なんか目覚めてもて、二度寝する気にならんかった(笑)」
イル兄は『ふ~ん』と言いながらコーヒーを頼んでソファーに座った。
「なんだか菜々実がいるのが当たり前になったね。」
「うん。かなり馴染みました。」
「うん。最初は大丈夫か心配だったけど。」
私はイル兄の向かいに座るとメイドさんが置いてくれていたコーヒーを口に運んだ。
「イル兄私服って事はお出かけ?」
「うん。今日はちょっと予定があってね。」
「珍し~ぃ(笑)」
「そお?ミルキよりは多いと思うけど?」
「ミルキは出なさ過ぎ。
イル兄朝ごはんは?」
「食べるけど?」
「良かった。じゃー私も食べよう♪
1人で食べるのもなって思ってさ。キルアが起きてくるまで待つか悩んでたんよ。
パン?ご飯?」
私はパッと笑顔になりながら聞くとイル兄にコーヒーを持ってきたメイドさんに朝食を頼んだ。
朝食を終えてこれまた食後の一服をしているとダイニングのテーブルに置きっぱなしになっていた携帯が鳴った。
「菜々実、父さんから電話。」
まだダイニングに座っていたイル兄が携帯のディスプレーを覗きこんで差し出してくれると、私は慌てて携帯を受けとり通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『お~菜々実か?おはよう。』
「おはよう。どーかした?」
『ああ、お前今日は仕事か?』
「ううん。仕事の予定はないけど?」
『そうか、だったら今晩仕事頼めるか?』
「うん。大丈夫。」
『助かった。少し人数が多いから親父か菜々実に頼もうと思ってな。』
「了解。お昼には帰ってくるの?」
『ああ。帰ったら3人で話して決めるか。』
「うん。じゃー気ぃつけてね。」
私は携帯を置くのと同時にイル兄が首をかしげてこっちを見ていた。
「今晩仕事手伝ってほしいんやって。まだ確定ではないけど。」
「そっか。ヘマしないようにね。」
そう言いながらイル兄は広間を出て行った。
**********
お昼前に起きてきたキルアとお昼ごはんを食べた後、広間でまったりしていると、仕事を終えたシルバさんとゼノさんが帰ってきた。
一緒にゴトーさんが広間へと入ってくる。
「お帰りなさい。」
「ああ、ただいま。」
シルバさんがドカッとソファーに座るとゴトーさんが何かのファイルを手渡し、お辞儀をして部屋を出て行くとシルバさんはファイルに目を通し、私とゼノさんにも同じファイルを手渡された。
今晩のターゲット…
「!!!!」
私はファイルに載っていたターゲットの顔写真を見て目を見開いた。
その様子にキルアが気付くとファイルを覗きこみながら首をかしげている。
「菜々実しってんのか?」
「うん。シルバさん。この仕事私にさせてくれへん?」
そう言ってシルバさんを見つめる私の目には怒りが宿っていた。
そこにあったのはヨークシンでクラピカに卑猥な事や侮辱の言葉を投げつけた張本人。
ゼンジだった。
「仕事と私情は混同するな。」
少し厳しい目でシルバさんにまっすぐ見つめられた私は逸らす事なくシルバさんを見つめ返した。
「はっはっは。かまわん。菜々実は私情で人殺しはせん。何より仕事の依頼として来たからこそのことじゃろ?」
ゼノさんは穏やかな顔でお茶を揉みながらちらりと私をみた。
「うん。ただ、どうせ殺すなら私にさせて欲しい。」
「わかった。確かに今回は人数も多いし相手が念能力者を雇っている可能性が高い。
出来るなら菜々実を連れて行きたいとは思っていたからな。」
シルバさんは表情を緩めて了承をしてくれた。
「で?菜々実こいつに恨みでもあんの?」
「うん。クラピカを散々貶してくれたから。」
私は笑顔で答えると3人はとっさにソファーから立ちあがって私から距離をとった。
「おい!その真黒なオーラしまえって!!」
「ああ、ごめん。思い出したら腹立ってきて(笑)」
私は思わず怒りを抑える事を忘れて禍々しいほどのオーラを練りだしていた。
「その様子だとさっさと終わりそうだな。」
そう言ってシルバさんんは豪快に笑うと広間を出て自室へと戻っていった。
「じゃー頼んだぞ?キルはどーするんじゃ?」
ゼノさんはもう一度ソファーに座りキルアに視線を移す。
「俺は留守番してるよ。今の様子じゃ邪魔になるかもしれないしさ。」
「キルア…」
俯いて前髪で表情の見えないキルア。
きっと悔しそうな悲しい顔をしているはず。
私はそう思うと同時にキルアを抱きしめていた。
「大丈夫だって。菜々実や親父との力の差は分かってる。
まっ!プライベートでは俺の方が強いけどね♪」
そう言ってパッと明るい笑顔で顔をあげてくれた。
「折角夕方まで時間あるんだし、菜々実買い物でも行こうぜ!」
そう言って明るい笑顔でキルアは広間を出て行った。
「菜々実、キルアを頼んだぞ?あいつはこの先強くなる。
ただ今はまだ…」
ゼノさんは少し心配そう顔で言葉をつづけようとしたけど私は思わず遮ってしまった。
「大丈夫。キルアは強くなる。きっと私よりも。」
そう言って笑顔で私はキルアを追って広間をでた。