夏だ×バイトだ×クワガタだ ⑦

 

 

 

 

ふと目が覚めて時計を見ると4時過ぎ。

隣ではキルア気持ち良さそうに眠っていた。

いつの間にか眠ってしまったらしい。

さっきのやり取りを思い出して少し恥ずかしくなる。

自分の言った本心が恥ずかしくて、我ながらキャラじゃない。なんて突っ込みたくなってしまう。

それでも今回の事で自分の気持ちをきちんと伝えられた事には満足していた。

自分が思っている以上にキルアが年下である事を気にしていた事。

私の事を好きで射てくれた事。

いつも以上に好きの気持ちをうわ言のように囁いていてくれたさっきまでの行為。

猫っ毛なキルアの髪に触れながら私は幸せを実感していた。


一度は全てを忘れて日常に戻ろうとしていた事が嘘のように思えてくる。

あの時の心が潰れてしまいそうな気持を思い出し、キルアの寝顔にキスを落とした。

ぱっちりと目が覚めてしまってもう一度寝る気になれなかった私はキルアを起こさないようにそっとベッドを降りると私は部屋を出た。


少し明るくなってきた空を見上げながら私は外に出て今までの事を思い出して、思い出に浸っているとどこから嗅ぎつけたのかミケが顔を出した。

「ミケおはよう。」

そう言って手を出すと大きな体ですり寄ってくる。

鼻先を撫でていると気持ち良さそうに目を閉じて猫みたいに喉を鳴らしていた。

「元気やった??
あれからおバカな侵入者はいた?食べたらあかんで?(笑)」

そう言って話しかけているとミケは背中を見て乗れと言う素振りを見せる。

私はミケの背中に乗るとミケは嬉しそうに一声鳴いて駆けだした。

まだひんやりとした風が気持ちいい。

ミケの背中から見る空は次第に明るくなり綺麗な朝焼けが顔を出し始めていた。

ククルーマウンテンの頂上付近まで来るとミケはさっと身体を倒しす。

私はミケの背中から降りて近くの気に上った。

丁度立っているミケと同じ目線で私は朝焼けを見ていた。

 


すると近くでガサガサっと小さな音がする。

音のする方を見ると何とも大きなクワガタが数匹。

思わず私は手に取るとその大きさが際立って見てた。

「うわでっか~!!夏休みにクワガタとか懐かしぃ~(笑)
キルアに見せよ♪」

私は何匹かいる中でも大きめの物を1匹手に取ると、ミケの背中に飛び移り『帰ろう?』と声を掛け家へと向かった。


家へと入る大きな扉の前に着くと少し怒った顔のキルアが待っていた。

「菜々実どこ行ってたんだよ?」

「ごめん。目覚めたからミケと遊んでた。
見てみて~!!!」

私はそう言いながらさっき捕まえたクワガタをキルアに見せた。


「うぉ!!すげ~オオシカクワガタ!!!!」

「鹿???」

「ばか!一番高いって言われてるクワガタだよ!
お前こんなのどこから持ってきたんだよ!?」

「高いって所詮虫やろ??」

「ペアで30万は平気でするんだぞ!!」

「30万!!!??
普通に何匹かいたかも…」

「マジかよ!!??どこ!?」

私は恐る恐るククルーマウンテンの頂上を指差した。

「俺んちの敷地内!?」

今にも目が飛び出しそうなほど目を見開いて驚くキルアに私は黙って首を縦にこれでもかと言う程何度も振った。

「マジかよ!?」

そう言いながらキルアは嬉しそうに携帯を出すとどこかに電話をかけ始めた。

「もしもし。俺?
なぁオオキカクワガタって知ってる?うん。そう。だよな~!!
それが俺んちの庭にさいるんだって!!
一緒にとらねぇ?うん。じゃー菜々実に頼んでそっちに飛行船回してもらうからさ。
うん。じゃー飛行船がそっち着いたら連絡する。じゃーなぁ。」

キルアは電話を切ると私に向って手を合わせる。

「菜々実ごめん!飛行船クジラ島に回してやってくんない?」

「クジラ島?
ってことはさっきの電話ゴン??」

「うん。クジラ島でも1年に1匹見るか見ないかなんだってさ♪」

「そーなんや~。
いいよ。クジラ島ね。」

私はそう言うと自分の飛行船をクジラ島に向けて出発依頼をした。

「じゃー俺達今晩から先に探そうぜ?」

そう言って目をキラキラさせるキルアが可愛くて私は笑いながらOKt返事をした。

「て言うか飯くおーぜ?」

言うのと同時にキルアは私の手を引いて家の中へと歩いて行った。

 

 

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