試験×プレート×思い出  後編

あの時大事にしまっておいたプレートを私はいつもカバンに入れていた。

 

 

そして、本当に元の世界に帰ってきてしまった。

 

 

 

 

 

 

「あっ…。」

 

 

 

ハンターの世界に行っていた事を思い出すのもつらくなってきた頃。

 

私はずっと使ってきた鞄を違う鞄に変えようと整理をしていると、見覚えのある少し大きめの封筒を見つけた。

 

 

封筒には『ハンター協会』の文字が。

 

 

そっと中身を出してみるとプレートが9枚。

 

 

あの時皆に頼んで書いてもらった名前を一枚一枚確認して行く。

 

 

思い出すのがつらいと思っていたのに、頭の中には楽しかった記憶が流れていく。

 

 

自然と流れる涙を服の袖で拭いながらも私はプレートを手放せなかった。

 

テレビの横にあるラックに私はそのプレートを大事に並べ、押入れをあさって写真立てを取り出した。

 

 

あの日、嬉しそうに笑う皆の写真を入れると一緒に飾った。

 

 

毎朝写真に『おはよう』と言い家をでる。

 

帰ってくると『ただいま』と言い。

 

寝る前には『おやすみ』と言った。

 

 

 

 

皆が今何をしているのかは大体知っている。

 

本棚にはHUNTER×HUNTERの漫画とDVDが置いてある。

 

 

流石にそれを手にする事は出来ないながらも、きっとみんな元気なんだと思う事で自分も頑張れる気がした。

 

 

 

そして現れた ナムさん。

 

 

私はもちろんプレートを持ってハンターの世界へと帰ってきた。

 

デジカメの写真をプリンターで人数分だし、部屋に飾っていた写真は友人に残してきた。

 

 

 

現実世界で私を支えてくれた大事な宝物。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルバムを見つけて思い出し、私はプレートを探した。

 

 

いつの間にか色あせてしまった封筒を見つけて取り出すと、あの時のままのプレート。

 

 

同じように一枚一枚確認して行く。

 

懐かしい思い出、辛かった思い出。

 

 

そして、みんなに渡そうとプリントアウトしていた写真。

 

私は自分用の写真を写真立てに入れると書斎の机の上に飾った。

 

 

 

そこにはこの世界で撮った写真が並べてあった。

 

ハンター試験・クジラ島・協会・結婚式。

 

 

数々の思い出の始まりの写真。

 

 

本棚の整理を終え、少し暗くなってきた部屋で写真を眺めていると部屋のドアが開いた。

 

 

 

「電気くらいつけたら?」

 

 

「あっ!お帰りキルア。」

 

 

「ただいま。何してんの?」

 

 

「本棚の整理してたら懐かしい物見つけて思わず思い出に浸ってた(笑)」

 

 

「懐かしい物?」

 

 

私の手元を覗きこんで、キルアはそれを手に取った。

 

 

「懐かしいじゃん。これハンター試験の時のだろ!?

うわ~!皆若いな(笑)

俺とゴンなんて若いって言うより子供じゃん(笑)」

 

 

「うん。可愛い(笑)」

 

 

「10年前か?」

 

 

「うん。」

 

 

私とキルアはそのまま写真を持ってソファーへと移動した。

 

 

「パッと10年ってでたな?」

 

 

「ああ、今日ハンター試験の最終試験だったからさ。

第297回合格者5人ルーキー4人の俺達の年以来のルーキーの豊作年になったんだ。」

 

 

「そーなんや!

ネテロ会長元気?」

 

 

「ああ、相変わらずな。あのじーさん変わってねぇし。」

 

 

「あはは!会長は変わらん方がいい。何か安心する(笑)」

 

 

「お前に会いたがってたぜ?今度お茶飲みに来いってさ。」

 

 

「そっか、行ってみようかな♪」

 

 

「あんまり無理すんなよ?」

 

 

「うん。」

 

 

協会とは別の仕事で3年程時間をとられて、ネテロ会長に会えていなかった。

 

仕事ももうすぐ一段落する。

 

 

そしたら会長に会いに行こう。

 

そして、3年後の記念すべきハンター試験第300回のパーティーの企画をして、同期に会おう。

 

 

そう思いながら私はそっとキルアの肩に自分の頭を乗せた。

 

 

「珍しく甘えた?一週間さびしかった?」

 

 

「うん。」

 

 

優しく包み込む様に抱きよせてくれたキルア。

 

写真の中のキルアはまだ幼くて、本人に言ったら怒られるだろうけど、子供だった。

 

あの時から10年。

 

私達は今も仲良くある意味あの頃と変わらず一緒に過ごしている。

 

何時だって包み込んでくれるこの腕が私を支えてくれている。

 

 

何時の間に大人になったキルア。

 

子供の頃のキルアも、今のキルアも私は大好き。

 

 

 

「キルア、大好きやで。」

 

 

「知ってる。」

 

 

優しくキスを落としてくれた。

 

 

私はこの世界でかけがえのない人たちに出会い、いろんな経験をした。

 

この先も、あの写真の中の自分と変わる事なく笑っていたい。

 

 

一枚の写真と9枚のプレートが私の人生を大きく変えた。

 

そして、かけがえのない物を運んでくれた気がした。

 

 

 

あとがき

あれ!?

 

なんかもっと騒がしい感じにするつもりがとってもしんみり(笑)

 

 

なんか完全に最終回くらいの感じになってしまいました(笑)

 

 

ま~10年後のお話になってしまったのでこんなもんか?

 

 

最近書いてないから何か違和感が…(笑)

 

 

さ!気を取り直して笑えるの書こうかな(笑)