「じーちゃん・親父ただいま。」
「お邪魔します。」
私達は無事ゾル家に着くと広間でゼノさんとシルバさんに挨拶をした。
「おかえり。
菜々実、早速で悪いんじゃが仕事を手伝ってくれんか?」
「いいよ。どこに行けばいい?」
「お前もゆっくりしたいじゃろーから今回はジェットを使え。」
「いいの!?」
「ああ。さっさと済ませれば一晩で終わるじゃろ。
イルミの手伝いをしてやってくれ。」
「了解。」
私は徐に携帯を取り出してイル兄に電話をした。
「あ、イル兄?私。何手伝ったらいい?」
「助かるよ。
3人同時に殺すつもりなんだけど、どうしてもエスコート付じゃないと会場に入れないんだ。キルの部屋にドレス置いてあるからそれ着て来て。
場所はメールで送る。」
「了解。じゃー詳細はメールでよろしく。」
私は電話をしながらゼノさんにOKサインを出した。
キルアはその間何にも言わずに私を見ていた。
「じゃー早速着替えてくる。
キルアはどーする??」
「俺も付いて行く。」
「えっ!!??」
キルアの申し出に思わずびっくりしてしまう。
「俺が付いて言ったらまずいのかよ?」
不機嫌丸出しなキルアは私の腕を掴むと部屋へと向かった。
私はキルアの部屋に入るとベッドに置いてあったドレスに着替え始めた。
真っ赤なマーメードラインのドレス。
ホルターネックにガッツり腰まで背中の空いたそのドレスは、見るからにイル兄の趣味じゃない。
一体だれが買ったんだか??そう思いながらもキルアとの会話は続く。
ベッドに腰かけて不機嫌そうな顔で質問を重ねていく。
「前もイル兄と一緒に仕事したのか?」
「ううん。前は私一人。報告はイル兄にしてたけど?」
「じゃーイル兄と仕事一緒にすんのは初めて?」
「うん。初めて。ってか何で?」
「何か当たり前のように家の仕事やってねぇ?」
「やってるかも。」
「人殺しだぜ?」
「でもお仕事でお金もらってるよね?それって生きてくためやん。感情殺人じゃないもん。」
「それなら菜々実平気なのかよ?」
「うん。地味に平気。」
「はぁ~信じらんね~。
普通嫌がるだろ?」
「キルアは私に嫌がって欲しい?」
「いや、別にそーゆー訳じゃねーけど。」
「私ゼノさんも、シルバさんも、イル兄も、ミルキも、カルトちゃんも、キキョウさんも好きやで。
みんないい人やと思う。
みんな人殺しやけど感情殺人者じゃない。」
私は調度着替え終わるとキルアに向かって笑顔で答えた。
「はぁ~降参。菜々実の好きにしろよ。とりあえず俺はここで待ってるから。」
「ありがとう。」
そう言って私はキルアに抱きついた。
ぐらりと視界が揺れていつの間にかキルアが覆いかぶさっていた。
「お~い、キルアくん??
私バイトに行きたいんですが??」
「5分だけ。」
そう言ってキルアは私にキスの雨を降らせた。
額や頬、唇だけでは足りずに首筋、鎖骨、耳に胸元。
「ん…やぁ…」
甘い感覚に身体の力が抜けていく。
最後に優しいキスを唇にするとキルアはさっと身体を離した。
「続きは帰ってきてからな。」
そう言って笑っていた。
私はわかったと言う代わりに自分からキルアにキスするとイル兄との待ち合わせのホテルへと向かった。