可愛いキルアが書きたい反面、男前なキルアもやっぱり好きで。
「お願いキルア」の話が自分の中でも、由の中でもいい感じやったので再挑戦的な?(笑)
癒しを求める今日この頃です。
「嫌やってゆってるやん!?」
大体のキルアのおねだりは可愛い&しょうがないと諦めて聞く。
でも今回ばかりは妥協出来ない。
だって…だって!だって~!!!
キルアの口から出たお願い。
それは…
「ギルさん辞めさせて。」
2週間程協会の仕事で家を空けていた私が帰って来ての第一声がそれ。
ギルさんはそれはそれはよくしてくれる人で私はかなり気に入っている。
料理も上手いし、私の好きな味や料理を熟知してくれている。
更に私好みのワインやシャンパンも。
決して出しゃばらず、でも私の様子をしっかり把握して、最善の気遣いをしてくれる人。
彼を専属として雇って4年。
彼以外の人に代わりが務まるなんて思わない。
何度嫌だと言ったかわからない。
理由を聞いても答えてくれない。
さすがにそんなキルアに私は本気でキレていた。
私は部屋へ帰るなりシャンパンを一気に飲んだ。
普段は何かあっても大体は根拠や理由を言ってくれるキルア。
それが今回に限っては全く理由をはなしてくれない。
何度も何度も聞いたのにどもって話してくれない。
そればかりを考えながら私は一気にまたシャンパンを飲み干してベッドに潜り込んだ。
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朝いつもより少し早めに目が覚めた私は隣にキルアがいない事に気が付いた。
シーツは冷たく寝ていた気配はなかった。
寝室を出て書斎に入ってもキルアの姿はない。
「ソファーで寝てると思ったのに…。」
私はそのまま広間へと向かった。
「おはよ。」
広間にはまだゴトーさんが朝食の準備をしていた。
「おはようございます菜々実様。」
「珈琲もらっていい?ブラックで。」
「かしこまりました。」
いつ見ても丁寧なお辞儀をボーっと見ながらため息を付いた。
さすがに部屋にも広間にもいないとなると心配になってくる。
16歳のしかもプロのハンターなんだから心配する必要もないのかもしれないが昨日の自分が言った一言が気になってしかたなかった。
『キルアには関係ない』
あの一言はまずかった気がする。
考え事をしながら吸っていたタバコは今にも灰が落ちそうだったようで、珈琲を持ってきてくれたゴトーさんはタバコの真下に灰皿を差し出した。
それに気づくとはらりと灰が灰皿へと落ちていく。
「どうかなさったんですか?」
そんな私の様子を不思議に思ってゴトーさんが覗きこんできた。
「キルアと昨日喧嘩してもて。
部屋に戻ってこんかったからここかなって思ったんやけど…。」
「今朝はまだ誰もお見えになってませんね。」
そう言ってゴトーさんも少し心配そうに入り口のドアを見つめた。