何かゾル家のバイトばっかりになってる気がして…
たまには協専のお仕事もね(笑)
今回は仕事が主ではなく、久々にキルアと菜々実ちゃん2人のお話…
甘いんだか、甘くないんだか(笑)
「ごめ…ん…迎えに来…て…」
『おい!菜々実どーしたんだよ!?』
「説明は後…からする、から…迎えに来て…」
『まだ近くの空港にいるからすぐ行くからまってろ!!』
「うん…よろ…しく…。」
携帯を閉じると同時に私は意識を手放し、そのままなんの支えもなく地面に倒れ込んだ。
~10時間前の早朝~
「じゃーキルア送ってくれてありがとう♪」
「ああ、気を付けて行ってこいよ?」
「うん。終わったら連絡するから迎えに来て。」
私は協専の仕事で飛行船を止めておく場所がないのでキルアに現地まで送ってもらった。
ここ数日何人ものハンターが討伐に向うも生きて帰っては来なかった事で、会長から討伐を命じられて私は今、アイジエン大陸のカキン国に来ていた。
「さてと、地図からするとこの辺り…
あっ!そこのおっちゃん!!
この地図の場所ってどの辺??」
「お?ねぇ~ちゃん観光かい??」
私は近くにあった屋台のおっちゃんに声をかけ地図を見せるとにこやかだった顔がみるみるうちに真っ青になっていく。
「悪い事は言わねぇ!やめときな!!何人のハンターがここに行って帰ってこなくなったかしってんのか!?
ねぇ~ちゃんみたいな子が行く所じゃねぇ!!」
「いや、私もハンターやし、しかも討伐のお仕事で来てる以上いかへん訳にはいかんのよね…あはは。
そんなにやばい??」
「ああ、最後に1週間前に3人いかにもってやつらが行ったがまだ帰ってきた来てない。」
「そっか。で?場所は??」
そう言って笑顔で地図をしまうとおっちゃんは諦めた様子で道を教えてくれた。
私は笑顔で手を振りながら教えてもらった道を進んで行く。
2時間程歩いた先には鬱蒼と茂る森があった。
「よし!この中か。」
気合いを入れて、四聖獣を呼び出し、さらには会長に到着の電話を入れて私は森へと足を踏み入れた。
森に入って数時間。
問題の生物と遭遇する事もなく、私は森の中をさまよっていた。
昼間なのに夜の様に暗い森。
何体かの遺体を見つけてはここに来たであろうハンターの顔写真と照らし合わせていく。
「これで4人目か。」
リストの半分を確認して、さらに奥へと進んで行く。
鳥の声も動物の声もしない。
暗く静かな森の中から何かを引きずる様な音が聞こえて私は空から確認する為に白虎に乗った。
「なんじゃこりゃ!!!!!」
空から見えたのはまさしくゴーレムと呼ぶにふさわしい玄武もビックリの大きな岩の塊が動いている。
思わず出した大きな声に反応するようにこっちを見る。
と、次の瞬間、私目がけて向かってくる。
身体に似合わずなんとも俊敏な動きに同様しながらも、私は逃げる様に後ろへ飛びのくも、振り上げられた腕を避けたはずが大きな衝撃に地面へと叩きつけられた。
「いったぁ…。」
背中に鈍い痛みを感じながらも立ち上がると目の前にまたもや出現。
私は朱雀を放つと白虎に乗って空中へと駆け上がった。
「痛いなもぉ~!!!」
痛みに顔を歪めながらゴーレム野郎に突っ込んで行く。
朱雀の『烈火の道標(レッドアロー)』を食らわし、右半面を破壊するもまだ動いている。
それでも体制を崩したゴーレムの背中向かって朱雀を放つと同時に奴の尻尾らしき物が振り下されるのを確認すると同時に飛び退くが数センチ足りずに横腹にクリーンヒットしてしまった。
「ぐはっっ!!!」
そのまま空から落ちるように地面にまたもや叩きつけられる。
直前に朱雀の『黒炎の陣(ジャストブラックウォール)』で奴の身体ごと黒炎の柱に包まれるのを確認した。
「やばい…痛い…」
痛みの激しい脇腹を見ると傷は深く血の止まる気配がない。
私は玄武の『鋼鉄に砦(ブラックカーテン)』で周りを覆ってキルアに電話をかけた。
「菜々実!!菜々実!!」
いつの間にか意識を失っていた私の身体を誰かが揺らして目を開けた。
「キルア…」
「お前何やってんだよ!!??」
「ごめん…しくじった…」
「相手は!?」
「討伐完了。」
そう言って笑顔を向けるも傷みで顔がひきつった。
「とりあえず帰ろう。」
そう言ってキルアに抱きあげられると同時に私はまた意識を手放した。
~キルアside~
菜々実からの電話を切ったあと俺は慌ててジェットに乗るとカキン国に向かった。
菜々実を降ろした場所に着くと小さな姿の白虎が待っていた。
「おい!白虎!菜々実は!?」
俺の呼びかけに白虎は身体を大きく変化させると乗れと言うよう俺の顔をみる。
背中に乗って数分。
鬱蒼と茂る森へとやってきた。
白虎は俺の身長程の岩の前で止まると小さな体に戻っていく。
それと同時にさっきまであった岩が消え、菜々実の姿が現れた。
足元には小さな玄武。
菜々実は短く荒い呼吸をしながら青白い顔をして倒れていた。
まるで真っ赤な絨毯の上に寝てるかのように周りは血で染まっていた。
「菜々実!!菜々実!!」
菜々実の身体を抱きあげて名前を呼ぶと目を開ける。
「キルア…」
「お前何やってんだよ!!??」
「ごめん…しくじった…」
「相手は!?」
「討伐完了。」
そう言って痛みで顔を歪んで行く。
「とりあえず帰ろう。」
俺は菜々実を抱いたまま白虎に乗ってジェットに戻ると急いで一緒に乗せてきた医者に菜々実を見せた。
「傷が深いですね…」
そう言いながら傷口を縫合する医者を目の前に焦りは消えない。
「助かるんだろーな!!??」
「大丈夫です。菜々実さんの命に別条はありません。
傷は深く肋骨の数本折れていますが、内蔵は無事です。」
「良かった…」
「安静に過ごしていただければ数週間で元に戻ります。」
その言葉に安心すると俺は処置の終わった菜々実のそばに座って髪をなでた。
「驚かすなよ…
お前にもしもの事があったら俺ど~していいかわかんないじゃん…。」