誕生日にキルアが菜々実にねだったプレゼントとは・・・?
天空闘技場で修行中のお話
「はぁ~・・・」
私は明日に控えたキルアの誕生日プレゼントを何にするか悩んでいた。
キルアの大好きなチョコロボ君は却下!
(ミルキみたいになったらえらいこと!!)
ゲームも却下!
(今は修行優先!)
じゃー他に・・・。
「あぁ~!!!」
私は座っているソファーのそばにあったクッションをドアに向かって投げた。
ポトッと落ちたクッションを見つめながら、なんだか切ない気分になってしまった。
(結局私キルアの好きな物も、趣味もあんまり知らんのやな・・・。)
一緒にいる時間の短さや、関係の浅さに打ちひしがれてしまった。
「何か泣きそう・・・。」
シーンと音のない部屋に外から聞こえたクラクションの音が響く。
ソファーに足をあげて丸くなりながら私は目を閉じた。
「菜々実さっきから何やってんだよ・・・。」
突然の声に私は顔をあげた。
「キルア!?」
一体いつからいたのか?
と言うよりいつ入ってきたのかわからない。
私の顔を見てキルアはそれを理解すると苦笑いを浮かべていた。
「菜々実がでっかいため息ついてたから声かけず辛くてさ。
そしたらクッション飛んできたから、びっくりして隠れちゃったんだよね・・・。」
「////っ!!!」
私は全部見られていた事の言葉も出なかった。
「なぁ?泣きそうな顔するほど何悩んでんだよ?」
キルアは心配そうに私の頬に手をあてた。
さっきのもどかしさが不安を呼んで私はそのままキルアに抱きついた。
「菜々実?」
キルアは私を宥める様に優しく頭をなでてくれる。
私が一番安心する方法・・・。
キルアはちゃんと私を分かってくれていた。
「ごめんな・・・。」
私は思わず、自分がキルアの事を知らない事に自然と言葉が漏れた。
「なにが?」
キルアはそっと身体を放すと額にキスをして覗き込む。
「私キルアの事全然しらん・・・。
何が好きで、どんな事されるのが好きでとか・・・。」
俯いたままの私の髪にキルアはまたキスをする。
クスクスと笑いをこらえる声が聞こえて私は顔をあげた。
「キルア??」
「教えてやろうか?
俺が何が好きで、どんな事されるのが好きか。」
私は素直に頷くと、キルアはまた私を優しく抱きしめながら髪に指を通して手遊びを始めた。
しばらく何も話さずに手遊びを続けるキルアを不思議に思って顔をあげ、てルアを見るとやっぱり笑っている。
「教えてくれへんの?」
「ん??今好きな事してるんだけど?」
「???」
私はさっぱり意味がわからなかった。
私の髪で手遊びするのが好きなのか???
「菜々実いっつも寝てるから知らないだろ?
俺菜々実の髪いっつも触ってるんだぜ?」
「知らんかった・・・。
でも何で??」
「細くて軟くて、犬の毛みたいで気持ちい。
菜々実の匂いもするから。」
「犬ですか・・・。」
ちょっと複雑な気分で聞いていた。
「後は・・・こーしてる時。」
そう言ってキルアは私の首元に顔をうずめる。
「ちょっとっ!!」
そっと触れる唇の感触に思わず身を捩る。
「菜々実に触れてるだけでいいって思ってると、もっと触れたくなる。
そーしてたら色んな顔も、声もって思うんだぜ?」
そう言ってキルアは首筋・肩・鎖骨へと舌を滑らせていく。
「んっ・・・」
「俺だけしか知らない菜々実見るのが好き。
可愛い顔して俺を見てる目が好き。
俺の事求めてる菜々実が好き。」
「私ばっかり・・・(笑)」
思わず笑ってしまった私にキルアもキスをしながら笑っている。
「俺の好きな物はこれ。
それから好きな事はこうしてる時。
されて嬉しいのは甘えられる事。」
そう言ってキルアは優しいキスをしてくれる。
「どっちも私?」
「そう、菜々実。
そんな事で悩んでたのかよ。」
「だってキルア明日誕生日・・・。」
「後1分でなるけど?」
「嘘!?」
私は慌てて身体を離すと時計を見た。
23時59分。
私は誕生日プレゼントを決められないまま誕生日を迎える事がショックだった。
自然と顔が俯いてしまう。
「プレゼント貰うぜ?」
そう言ってキルアは俯く私の顎に手をかけキスをした。
そのままソファーへと押し倒される。
「えっ!?」
思わずグッとキルアの胸を押してしまった私の手は、キルアの手に捕まって、そのまま優しく指を絡ませ拘束されてしまった。
「この先の菜々実の事俺に頂戴。」
耳元で囁かれたキルアの声が艶っぽくて、私は顔を真っ赤にして頷くのが精いっぱいだった。
~~おまけ~~
後日談。
私は誰かと話すキルアの声に目を覚ました。
キルアはソファーに座って誰かと電話で話していた。
「だーかーら!!いいって言ってんじゃん!
兄貴しつこいってば!」
どうやら電話の相手はイル兄らしい。
私が起きた事に気付いたキルアは電話を続けながらベットへと戻ってくる。
その後強引に電話を切ると大きなため息をついた。
「イル兄どーかしたん??」
「誕生日だから菜々実も連れて帰って来いって。
今から帰ってももう誕生日じゃねぇし。」
「確かに・・・。
1日では帰れへんもんな・・・。」
「全く。兄貴達何考えてるんだか。」
2人で同じタイミングでため息をついた。
それが無性に可笑しくて、額をくっつけて笑った。
「キルア、誕生日おめでと。」
「ありがとう。」
そう言って私達はククルーマウンテンに帰る準備をどちらともなく始めたのでした♪
空港にシルバさんのジェット機が待機していた事はもう少し先のお話。
~Fin~