「ただいま☆死の路なんて、大層な名前だからどんなものかと思ったけど、期待はずれもいいところさ★食後の運動にもならなかったよ……って、二人とも何してるの……?」
「ヒソカさんっ!助けて――!!!」
「おかえりー。ポーってば酷いんだよ。初めて発が使えたのに、それがどんな能力か、師匠である俺に教えてくれないんだ。だから、身体にきいてみようと思って」
ギリギリギリ……ッ!!
イルミが船の舵みたいな形のハンドルを捻るたびに、連動して私の首や手足、ウエストに取りつけられたバンドが食い込む。
X型の拘束器具に貼りつけにされている私……。
「なにそれ。楽しそうだなぁ、ボクも混ぜておくれよ☆」
「ダメ」
「いたい!いたいいたい!!いたいからやめてってば!!」
「まだそんなに声が出せるの?ふうん、ポーの念は防御に向いてるんだね。普通の人間ならとっくに血が止まって窒息してるレベルなのに」
「成長したねぇ☆たった二日間の成果なら優秀じゃないか」
「及第点だね」
ギリギリギリッ!!
「ぎゃあああああ!!」
「……さてと。そろそろ白状する気になった?」
「――っ、ヤダ!!」
「……」
「だって、まだちゃんと形になってないんだもん!なんか、書きかけの論文提出するみたいで嫌っ!もっと研究して観察して検証して、イルミにもヒソカさんにも、ちゃんと自分で納得いくまで完成させてから見て欲しいの!!」
「ダメだよ。それだと、もしも致命的な欠点があっても修正が入れにくくなる」
「致命的な欠点なんて作らないもん!!!」
「……そう。ポーはどうしても俺の言うことが聞けないって言うんだね」
ガッ!
ハンドルにかけたイルミの手に力が入ったとき、私の身体を締め付けていたバンドが全部切れた。
ヒソカだ!!!!
「待って、イルミ☆そういう話なら、ボクはポーの味方だよ」
「……」
「キミはポーの念の師だ。けれど、ポーの念はポーのもの☆どんな形に生み出すか、完成させるかはポーの意思に任せるべきだよ☆他人に押しつけられた形になんて、強い意思は宿らない」
「たまにはいいこと言う!!」
「たまにはは余計だなぁ☆」
ピャッ、といそぎんちゃくに隠れるクマノミのよーに、ヒソカの背中にひしとしがみつく私に、イルミはやれやれという視線を投げた。
「仕方ないなあ。甘やかすのは今回だけだからね?」
「うん!ありがとう、イルミ!」
「……」
「――で、次の試練はどうする?」
ああ、そうだ忘れてた。
「次はたしか、針の路でしたっけ?」
「うん。次は俺が行くよ」
「だねぇ☆針と言えばイルミのイメージだ」
「それとも、ここはポーに行かせて、手っ取り早く発の正体を見るべきかな?」
「イルミが行って!行くって言ったでしょ!殺し屋に二言はないの!!」
「えー、あるよ?いっぱい」
「じゃあ男に二言はない!はい、いってらっしゃい!!」
バタン!!
有無を言わさずイルミを引きずり、試練の扉に放り込む。
「ポーってさ、勢いで時々スゴいことするよね☆」
「へ?」
「ううん、なんでもない☆さ、ボクらも行こうか?」
「はい!」